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第3話

 二日目。  何だかなぁ~。  今日一日、仕事でのパフォーマンスがすこぶる良かった俺は、何気に立ち寄ったコンビニで遼平の好きなスイーツを見付け、買ってから帰路についている。  昨日はお互いに言いたい事を言って、終始体を触ったり撫でたりしただけ。  どの位してたっけ? 多分……一時間位か?  あの後も思い出話や、これからの事を話してそのまま気持ち良く寝てしまって……。  朝もスゲ~スッキリ目が覚めて仕事に行けたっけ?  何となくずっとモヤモヤしていた遼平に対しての不安や自分の不甲斐無さとかが解消されたって事や、久し振りに恋人の肌の温もりに包まれて安心して寝れたって事が大きく影響してんだろうけど…。  イヤイヤ、単純だな俺。  朝も俺の方がやっぱり仕事で遼平よりは早く起きなきゃなんなくて……、コソコソ起きて支度してたら気配で解ったかのか遼平が目を覚ましてしまった。 『悪い……、起こしたか?』  申し訳無さそうに小声で喋る俺に、フンワリと笑顔で 『イヤ? 見送り出来るの嬉しいけど?』  なんて……。イケメン過ぎるだろ!? 俺の恋人は本当に俺を甘やかすのが上手いなぁ。って、朝から関心しちゃっただろがッ!  …………。俺より年下なんだよ。なのにあの包容力。何食べたらあんなに良い子になれるんだよ? 俺もなりて~よ。  朝からのそんな返しで俺の心を軽くしてくれて、宣言通り手を振って俺を見送ってくれ……。そりゃぁ、仕事に張りが出ましたわなぁ。  本当……捨てられないように頑張ろ、俺。 「ただいまぁ~」  マンションの玄関を開けて、そう部屋の中へと挨拶を言いながら靴を脱ぐ。 「お帰り~」  ガチャッとリビングの扉を開いて、俺を迎えてくれる遼平にガサリとコンビニの袋を差し出すと 「何?」 「お前の好きなの買ってきた」  俺の言葉にガサガサと袋の中身を覗いて 「うぉ~めっちゃ嬉しい。ありがとう、ご飯の後で一緒に食おう?」 「ン」  取り敢えず自室に入ってからスーツを掛けて、パジャマに着替えてリビングに向かう。  テーブルの上には夕飯が出来上がっていて 「腹減ったよな。食べようぜ?」  キッチンから残りのおかずを運びながら俺に言ってくる声を聞きながら、俺は定位置に座ると 「よし、食べよう。頂きます」 「頂きます」  お互いに手を合わせてそう言って、夕飯を向かい合って食べる。  楽しく夕飯を食べ終えて、食器を俺が洗った後風呂へ。一緒に入るか? と誘ってはみたが遼平は俺が帰って来る前に入ったらしく、一人で足を伸ばして湯船に浸かっている。  ホカホカになって風呂から出て、ガシガシとタオルドライしている手を止められ遼平にドライヤーで髪を乾かしてもらい、二人でバラエティー番組を見ながら俺が買って帰ったスイーツを頬張った後 「んじゃ、ソロソロ寝ますか?」  テーブルの上に乗ってあるスイーツの残骸を袋に入れながら遼平が俺の顔を見詰める。 「そうだな」  お互いに好きなバラエティー番組を見終わってテレビを消すと、俺は定位置から腰を上げて一つ伸びをする。 「先俺の部屋行ってて」 「ン~~」  キッチンにゴミを捨てに行った遼平に言われ、俺は一足先に恋人の部屋へと入るとそのままベッドへとダイブし、ウゴウゴと体を動かして掛け布団を下から自分の上へと掛け、溜め息を吐き出す。  はぁ~、今日も終わったなぁ。明日も仕事か……。  嫌だな。と考えていると遼平が部屋へと入って来て、ゆっくりとそちらに視線を動かすと、遼平は着ていたスウェットを脱ぎ始めていて……。  ア、俺……パジャマ脱いでね~わ。  ヤベッと表情に出ていたのか、遼平は俺の顔を見てすぐに掛け布団を剥ぐと 「俺が脱がせても、良い?」  逆にニンマリと笑われ、ドキリとしてしまう。 「まぁ……良い、ケド……」  ニンマリと笑った顔ではあるが、目の奥で遼平の欲望が見て取れて心拍数が上がる。ギシッと音を立てて片膝がベッドへと上がると、そのまま遼平は俺の体を跨ぐ形で上にきた。 「んじゃぁ、脱がせま~す」  明るく言っているが微かにコクリと喉が鳴ったのを俺は聞き逃さない。  伸びてきた指先が器用に動いて、着ているパジャマのボタンを一つ一つ外しにかかる。遼平の手で素肌から剥がされる布の感触に、普段はあまり感じないのに何故だが酷くエロいなと思ってしまう。  ボタンが全て外され大きく開けると、袖口に向かって遼平の指が俺の腕を滑る。 「ン……」  吐息混じりに微かに鼻から声が漏れて、たったそれだけの事でゾクリと感じてしまった自分が恥ずかしく、俺は顔を赤くしてしまう。遼平はそんな俺に気付いているはずなのに、何も言わずに反対側の腕からも生地を剥がすと 「郁哉、腰上げて」  パジャマのパンツに手をかけて、下へとおろそうとしている遼平の指示に素直に応じ、俺は腰をベッドから浮かすとススス……とボクサーパンツだけ残して脚からパジャマを引き抜く。  引き抜いたものをベッドから外に落とすと、一度俺の上半身を横に向けて俺の背中にあった上のパジャマも取り上げパンツ同様下へと落とす。  昨日と同じでお互いボクサーだけになると、遼平は俺の隣に入り込み掛け布団を俺達の上へと掛ける。 「寒くねぇ?」 「ン、大丈夫……」  伸びてきた指がスリッと頬に触れて、その感触に項が粟立つ。 「今日はキス出来るから、しよっか?」  隣から優しく言われ、俺の返事を待たずに遼平の顔が近付いてくる。俺はゆっくりと目を閉じるとチュッと唇に柔らかい感触。  何度かついばむような可愛いキスに、俺は薄っすらと唇を開くと 「……ッ、郁哉ぁ……ディープなのは出来ないんだよね」  残念そうな遼平の声音に目を開くと、またしてもケモ耳がペシャッとなっている風に見える顔とぶつかり、俺はフフッと笑ってしまうと 「何、笑ってんだよ~」 「イヤ……だってお前……」 「郁哉~~……」  ドサリと隣から俺の上に覆い被さり、体重をかけて抱きついてきた遼平の背中に腕を回して、ポンポンと叩く。すると遼平のモノが俺の太腿にグリッとあたって……。 「ッ……」  俺のもボクサーの中で半勃ちになっていて、それが遼平のお腹で圧迫されている。当然遼平には俺のも変化しているってバレているだろう。  昨日の夜だってお互いにボクサーを穿いたまま抱き合っていたが、体を触ったり撫でたりするだけでも気持ち良くなってリラックスしたらそりゃぁ勃つワケで……。それに遼平と触れ合ったのも本当に久し振りだったから、近くにある体温や匂いに興奮するのもしょうがなく……。  出来ればすぐにでも深くキスして、遼平を舐めたり味わったり暴かれたい欲求があったが、珍しく可愛い恋人から提案されたお願いだ。叶えてやりたいって気持ちが自分の欲を上回った。  お互いの欲を体に押し付ける形で抱き締め合っている状況を、遼平が少し上半身を上げて距離を取ると 「今日は郁哉の体中にキスしても良い?」  遼平も欲求を理性で押し込んでいる表情で俺に尋ねてくるから、俺は一つ首を縦に振る事しか出来ない。  俺からOKの合図が出ると、一度遼平はヘヘッと笑って軽く唇にキスをすると、そのまま頬に唇を移動させる。  頬から耳、首筋へと……、昨日の手の平や指での愛撫が唇に変わって俺の全身を愛おしそうにチュッ、チュッと音を立てて愛撫していく。  鎖骨下に唇が落ちると、チリッとした痛みに視線を下げれば、遼平が唇で強く吸った跡が赤く花びらのようになっている。 「……ッ、ごめん。何か、堪んなくなって」  チラリと言いながら俺の顔を見てきた遼平の顔が、思いの外雄の顔付きで俺は無意識にコクリと喉を鳴らす。  俺にぶつけたい欲を遼平も我慢してるんだ……。と、よりハッキリと認識してしまうとゾワッと背中に甘く緩い電流が流れて、はぁっ。と吐息が漏れ出る。  唇が鎖骨から胸に移動してきて、期待に立ち上がった乳首がキスしてと主張しているが、遼平はそのままフイと乳首を避けて脇腹やお腹、臍へとキスを落とす。  ……………ッ、焦れったい。  優しい口付けはジリジリと快感を煽るだけで直接的な刺激にはならない。柔らかい感触が肌にあたる度ヒクリと体は反応するが、快感が蓄積されていくだけで歯痒いだけだ。 「郁哉、うつ伏せになって」  言いながら遼平の手が俺の肩口に伸びてコテンと体を反転させる。  そうして再び俺の上に遼平が乗っかってくるのだが、丁度俺の尻の辺りに遼平のモノがあたる位置で……。  意識するまいとするが、遼平が俺の背中にキスをする度に前屈みになった反動でモノの先端が尻の割れ目にクイックイッと刺さる感触に、無意識に俺は尻を突き出すような格好になっていたらしく 「郁哉……、チョッ……と煽らないで……」  はぁ。と遼平が吐息を吐き出しながら手の平で俺の浮いた腰をグッとベッドへと押し戻すので、その体になってやっと自分がそうしているだと自覚して俺は枕に顔を埋めて 「ごめん……」  くぐもった声を出して、遼平に謝る。

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