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逆愛Ⅱ《洸弍side》3
大空に謝れないまま2ヶ月が過ぎて、季節は春になった。
お互いに進級して、俺は3年、大空は2年になった。
あれから何度抱かれたか分からない。
「おい、大空!」
「洸弍先輩」
午前の授業が終わり2年の教室に入って大空を呼んだ。
「企画案の話があるから、昼飯食いながら話す。学食行くぞ」
「了解です」
大空に謝りたい。
でも今更、どうやって切り出せばいいのか分からない。
だからいつまで経ってもこの関係のままだ。
「お前…それ全部食うのかよ?」
「もちろんですよ!午後は長いですから体力つけないと」
大空はオムライスとラーメンと焼きそばを持ってきた。
「それで足りるんですか?何かあげます?」
「いらねぇよ。お前とは胃袋が違う。牛かよお前」
毎回思ったことだが、よく食う奴だ。
それなのに太らないのはそういう体質なんだろうな。
ふと、大空の視線が気になった。
「なに見てやがる」
「洸弍先輩、いつもパン食べてますよね。そんなに美味しいんですか?」
「…遠回しに食いたい発言してんじゃねぇよ。ほら、やる」
「先輩のじゃないですか」
「腹へってねぇからコーヒーで充分だ。残飯処理しろ」
そう言って、食べかけのクイニーアマンを大空に差し出した。
俺の食べかけだとか関係なく、大空は食べ始めた。
「美味いっす!」
「ははっ。幸せな奴。本当、お前きっと前世は牛だな」
今まで俺の周りにこんな無邪気で単純で素直な奴はいなかった。
面白い奴だな。
よく考えてみれば、大空は身長高いし顔も悪くねぇし女子にモテる。
「お前好きな奴いねぇの?」
「えっ!?いや…あー、気になる人はいますけど。叶わぬ恋っぽいんですよね」
「へぇ。まぁ頑張れよ」
気になる人ってことは、恋人はいないってことか。
恋人がいるって言われたら、きっと寂しい気持ちになってた気がする。
そんな気がするだけ。
「嵐!こんなとこにいた!」
急に後ろから女が大空を抱きしめた。
周りがざわつく。
…見覚えのある女だ。
「え!マリちゃん何でここにいんの?」
「撮影でこの学園使うんだって。久しぶりだね、元気だった?」
ざわつく周囲から聞こえた名前。
グラビアアイドルの住谷マリだ。
「おっといけない。今日は下見だけだからもう行かないと。たまには帰ってきなよ。じゃね!」
そう言って住谷マリは去っていった。
「知り合いか?」
「まぁ…うちの母親のプロダクション所属なんで。あんまり実家帰らないんで久しぶりに会いました」
そういえば大空の母親は大手芸能プロダクションの社長だったな。
だから知り合いなのか。
叶わぬ恋か。
大空の『気になる人』って住谷マリなのかな―…
「…先輩、聞いてます?洸弍先輩?」
「えっ?」
「だからここの予算が…」
今、どんな表情してたんだろう。
何を考えてた?
違う違う。
俺は綾くんが好きなんだ。
大空が誰といようが関係ない。
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