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逆愛Ⅴ《嵐side》1

最近、もしかしたら洸弍先輩は俺を好きなんじゃないかと思う。 確信じゃないけど、そんな気がするだけ。 「ルイルイ!今日って出張はFI学園だけっすよね?」 「ええ。今日の16時から18時までです。会議が終わったら電話してください」 「了解!」 久しぶりの出張先は運がいいことに誠のいるFI学園。 誠に直接相談しようと思ってたから調度良かった。 会議が終わってからすぐに誠に現状報告をした。 誠は驚いていた。 「自分の気持ち、寺伝さんに伝えてみれば?嫌われてないって分かったんだしさ」 そう誠に言われて、決心がついた。 「そうだな」 洸弍先輩に告白しよう。 俺の気持ちを全てぶつけて、楽になろう。 人をこんなに好きになったことなんてない。 今なら何でも出来る気がしたから―… 会議が終わってからルイルイに電話をした。 『終わりましたか?』 「終わりました!今から帰ります。ルイルイとの打ち合わせは明日でいいっすよね?」 学園に戻るのは19時ぐらいになるから残された仕事は明日に回した。 早く洸弍先輩に会って、この気持ちを伝えたい。 『ええ。明日やりましょう』 よっしゃ、ナイスだルイルイ! バスなんて待ってられないから、自腹でタクシーで帰ろうかな。 『それと、今から楽しいものをお見せしますのでテレビ電話に切り替えて下さい』 テレビ電話? 「え?了解っす。電池切れるかも…」 テレビ電話なんて使ったことねぇし。 それより、ただでさえ充電の切れそうな携帯なのに… 「テレビ電話…テレビ電話…このボタンかな?」 洸弍先輩にはいい加減、機種変しろって言われるぐらい携帯使ってるからなぁ。 楽しいものってなんなんだろう? 「…!」 画面を見ると、ルイルイと誰かがセックスしていた。 あの喘ぎ声、あの髪の色、あの体… 一瞬で誰だか理解できた。 「洸弍先輩…?」 5分もしないうちに、充電が切れてしまった。 俺は画面が真っ暗になった携帯を見つめながら、しばらくその場に立ち尽くしていた。

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