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逆愛Ⅴ《嵐side》3
洸弍先輩はかなり驚いた顔をして俺を見ていた。
そして鼻で笑った。
「…冗談だろ?」
冗談なんかじゃない。
「本気です」
俺の返答で、洸弍先輩は困ったような顔をしている。
暫く黙って、洸弍先輩が口を開いた。
「俺を好き?めんどくせぇ。じゃあもうこの関係終わりにしようぜ」
「え?」
「俺はお前なんて好きじゃねぇんだよ。お前でも足利槞唯でも、セックス出来れば誰だっていいんだから」
洸弍先輩は、静かなこのバスルームで淡々と話し続けた。
「所詮お前なんて綾くんの身代わりなんだよ」
こういう応えも分かりきってたことだけど、ここまで言われるなんて。
ポジティブな俺でも、流石に効いた。
「同情したくねぇから、もう俺に近づくな」
そこまで嫌われてるとは思わなかった。
俺は洸弍先輩にとって最低な人間なんだから当たり前か。
過去を許してくれたわけじゃなかったのかな。
甘いな、俺も。
「分かりました」
そう言って、バスルームを出るつもりだった。
それなのに、
洸弍先輩が俺を見つめる顔があまりにも綺麗すぎて、
思わず、キスをした。
「んっ…」
舌を噛まれるだろうと思ったけど、逆に受け入れてくれた。
あぁ、やっぱり洸弍先輩じゃなきゃ嫌だ。
俺は唇を離した。
「抵抗しないんですか?」
「誰でもいいからだ」
洸弍先輩の本命は神威。
所詮俺は神威の身代わり。
分かりきってたことじゃないか。
それでも目の前にいる洸弍先輩が欲しかった。
「…じゃあ最後にセックスしてください」
「……」
洸弍先輩は無言のまま俺を見つめた。
フられたのに、そんなこと言うなよって顔だな。
でも、最後にちゃんと抱いておきたいから―…
「それで終わりにしましょう」
「…好きにしろ」
その言葉でスイッチが入った。
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