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第12話

冷蔵庫を開け、何を作るか考える。 中には、最近実家が農家の皐月に押し付けられた、大量の野菜。 「野菜炒めだな。」 野菜を消費するため、具沢山の野菜炒めを作る。 どうしてだろう。1人前とは言えない量がまた出来てしまった。 「んー。明日に回すか。」 「あ。」 野菜炒めをタッパに詰め、家を出る。 「ピンポーン」 「漱石さん!?どうしたんですか??」 「こんにちは。百合斗くん、お昼ご飯もう食べちゃった?」 なんも考え無しに来ちゃったけど、もう食べちゃってたら迷惑だよな...。 「い、いえ、まだですけど...。」 よしきた。 「野菜炒め。すき?」 「好きです。」 食い気味で答えてくる、百合斗くんが可愛くてつい頬が緩む。 「はははっ。そんなに好きなんだね。んー、じゃあちょっとお邪魔してもいい??」 「は、はい。もちろんです。」 詰め込みすぎて、ハムスターみたいになっている百合斗くんを見ながら、俺も野菜炒めをつまむ。 うん。美味い。 やっぱ、だてに一人暮らしやってないな。 「美味しいです!」 「良かった。」 そんなに幸せそうな顔しちゃって...。 てか、百合斗くんの部屋初めて入ったな。 チラッと見回すと、それが目に入る。 「この前貸したやつ、どこまで読んだ??」 「全部読みましたよ。ちょうどさっき。」 「読むの早いねぇ。」 「百合斗くん、今回も泣いたでしょ。」 百合斗くんの目が、赤くなっていることを、指摘する。 「目。赤いよ。」 図星だったのか、噎せそうになって、一気に水を飲み干す。 「..........今回も、めっちゃ良かったです。」 「出会いからラストの演出まで最高でした。」 「ふふっ。でしょ?」 「で、どーだった?」 「??めっちゃ良かったですよ?」 まぁ、全体での感想ももちろん嬉しんだけどさ。 官能ならではの、感想も聞きたいよね。 「結構、いい描写できてたと思うんだけどなぁ。」 「??」 態とらしく、顎に手を当て、言うがなんの事か分からず、彼の頭の上にははてなが浮かんでいる。 「濡場。」 「....................!?」 理解したのか、彼の顔が林檎のように真っ赤に染っていく。 可愛くて、ついからかってしまう。 「その様子だと、ご満悦されたようで。」 「いや!あの、はい。良かったです...。」 どんどん声が小さくなっていく百合斗くん。

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