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第16話

「うん。なんかドンマイ。今度飲みに行くか。」 気まずさからか少し気を使ってくれたのか、言葉を発する気力もなく、コクンと小さく頷くことしか出来なかった。 周りには、華金だからと言って、酒をガバガバ飲み干す大人達。 騒がしい空気感に少し、疲れを覚えた俺。 そして、目の前には、いつになく真剣な顔をした皐月。 「んで、あれが彼氏?」 「ちげーよばか」 「うん、どんまい。新しい恋探そ。」 「何勝手に付き合わせて別れさせてんだよ」 「お隣さんのことが好きなんだけど、どうしたらいいって話でしょ?」 「.....................わからん。」 「はぁ?いつものお前みたいにパクッといけばいいのに。」 「なんだ、人を化け物みたいにいいやがって」 「節操なし人喰い化け物。」 「お前、今日奢り決定な。」 「と、まあ、冗談は置いといて何であんなに避けられてるわけ?」 そんな事、自分で分かってたら今来てねえよと思いながら、無言で答える。 「なるほどね~。諦めろ。飲め飲め。」 「お前、話聞く気無いだろ。」 「あるある。めっちゃある。」 「..........お前彼氏いるじゃん。どんなキッカケ?」 「えー。俺も相手も元々ゲイだから多分参考になんないよ?お前ノンケじゃん。」 「まぁそうなんだけど」 そういうと、少し考えてから楓が口を開く。 「キッカケはbrilliantで奢ってもらったこと」 「奢ってもらった?」 「そ、相手に先に気に入られて奢ってもらった」 「んで、その時限りだと思ってたけどまさかの、数日後に偶然再会。」 「色々ありまして、今になりますと。」 「なんか、小説みたいだな。」 「お前のこれからの話作りに役立てていいよ。」 「俺さ、どっちかっていうとその色々ありましての部分が聞きたいんだけど」 「えー。長くなるよ。だいぶ。」 「編集だろ。簡潔にまとめろ。」 「..........何が聞きたい訳」 「いつ好きだって思ったわけ?」 「はぁ?これだからお子ちゃまは..........。」 楓は、考えをまとめるように1人でブツブツ何かを言っている。 「あー。んーとね。俺の彼氏、めっちゃ可愛んだよね。顔がとかじゃなくてね。全てが。」 「かわいー。守りてー。って思ったわけ。」 「買い物してても、あいつに似合いそうとか思っちゃうわけ。」 分かった?と口角を少し上げながらこちらに問いてくる。 正直、楓が言っていることは、抽象的すぎて全てを理解することは難しいが、なんとなくは分かる。

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