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第18話

小鳥の囀り。朝から動く車達の音。 遠くで俺の名前を呼ぶ百合斗くん。 いい夢だ。 溜まっていた疲れも何故か消えている。 瞼を開くと、何やら険しい顔をした百合斗くん。 「..........ん?あれ、なんで百合斗くんいるの?」 「な!!!それは漱石さんでしょ!!」 朝から元気だなぁ。 もしかして、まだ夢の中か。 それなら、もう少し寝ようかと、再び瞼を閉じようとした時、脳裏に昨夜の事が走馬灯のように浮かび上がってくる。 一気に、全身の血の気が引いていくのを感じる。 「あの、百合斗くん。申し訳ありませんでした..........。」 「思い出しましたか。」 「はい。大変申し訳ありません。ベッドまで使わせていただいて。」 俺は...この歳にもなってなんてことを...。 いっそ忘れていたかった....。 「漱石さん。ぜーんぶ覚えてる?俺に何したのか。」 「...........はい。」 「反省してる?」 「はい。」 「じゃあ、許してあげる。」 いつもとは違い、少し意地悪くそう言う彼に胸がキュンとなる。 キッチンへ向かう彼の後ろ姿をボーッと眺めてると百合斗くんが歩きながら言う。 「漱石さんさぁ。手早いのはどうこう言わないけど、俺なんかに手出したら女の子たちに失礼ですよー?」 ..........? なんで、失礼なの? 俺が百合斗くんに触れたかったから触れただけなんだけど。 何を言われているのか分からず、間の抜けた顔で彼を見つめると、また彼も同様の顔で見つめ返してくる。 「俺、百合斗くんだから手出したんだけど?」 「..............................え?」 「ちょ、ちょえ?漱石さんそれどういう意味か分かって言ってる!??」 顔を真っ赤にし、慌てながら彼が言う。 「??そんままの意味だけど?」 「え、ちょっと待って、、じゃあ、俺じゃなかったら手出してなかったの...?」 「うん。まぁそうなるね。」 夢の中に、他の男出てきても手出す訳なくないか?? 何かを言いたげに、手をぶんぶんさせながら百合斗くんがこっちを見つめてくる。 「もうそんなん、俺のこと好きじゃん。」 ボソリと、彼がそう呟く。 ....................え? 俺のこと好きじゃん??俺が?百合斗くんの事? ちょっと待て。落ち着け。 うんうん。 なるほどな。 あー。 俺これやらかしてる。 一気に顔に熱が集まったのを感じ、ガバッと布団を被る。 先に俺の気持ちに気付いていた百合斗くんが布団の上からポカポカと叩いてくる。

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