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第19話

「なんですか??漱石さん出てきてくださいよ。」 いや、出て行けるわけなくない?? 俺めっちゃ恥ずかしいやつじゃん...。 するならちゃんと、言いたかった...。 「グイッ」 ポカポカと叩いてくる彼の腕をグイッと引っ張り、もうどうにでもなれと思いながら、言う。 「俺、百合斗くんの事好きみたい。」 勇気をだして、発した言葉も小鳥の囀に掻き消されそうなほどか細い声だった。 恥ずかしさと、情けなさでこの歳にもなって涙が出てきそうになる。 数秒程、間があったあと、百合斗くんが俺の手を握り、楽しそうに笑う。 「俺も好きです!!」 好きです?俺のことを? 「え、現実?」 百合斗くんが発した言葉を信じられず、じっと彼の目を見つめる。 「現実ですよ。好きです。めっちゃ!!」 そう言いながら、満面に喜色を堪える彼にまた胸が締め付けられる。 「えー、、ずるい。」 これ以上は、理性が耐えられないと布団をもう一度深く被る。 大人しくしていたかと思えば、急にずっしりと心地よい重さがかかる。 これ抱きつかれてる?もしかしてだけど。 えー、かわいー、、。 「好き!大好き!!好き好き!!」 布団の中に隠れている俺に対して、好きを連呼してくる百合斗くん。 恥ずかしさのあまり、もう聞くことに耐えられず布団を捲る。 「もう分かったから、勘弁して...。」 「ふふ、すーき。」 なんだ、この可愛い生き物。 「うん。俺も好き。」 多分、俺と同じくらい赤くなった彼の頬に手を伸ばす。 顔を近付けると、百合斗くんは目をぎゅっと瞑った。 えー、キス待ち???かわいー。 「ちゅっ」 軽く、頬にキスをする。 百合斗くんは、パチッとまんまるの目を開け、驚いたような、それでいて不満そうな表情を浮かべる。 そんな彼に対し、口元がほころぶ。 スっとベッドから立ち上がり、犬のようなフワフワの頭に手を乗せる。 「まだ、歯磨きしてないしね。」 不満そうな顔をしていた、百合斗くんに向かってそう言うと、既に赤くなっていた顔が更に染まっていく。 あー。俺。耐えれるかな。 目を覚ますと、いつもと変わらない天井が目に入る。 いつもと何も変わりはしないが、見る景色がどれも明るく見える。 「はー。ガキかよ。」 付き合うことが初めてって訳でもないのに、何処か浮き足立っている自分がいる。 溜まっていた仕事を進めていたら、携帯の着信がなる。 チラッと、画面を見ると皐月の名前。

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