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第26話
百合斗くんの背中からなにやら元気な女の子の声が聞こえる。
「え!え!百合くんお友達!?」
そう言いながら、出てきたのは小さくてぴょこぴょこしている可愛い女の子。
「うん。お隣さんだよ。」
その女の子と接する時の百合斗くんがまた普段と違い微笑ましくなる。
「初めまして。棗です。」
「棗さん...めっちゃ綺麗ですね...」
彼女は、うさぎのように、俺の周りを飛び回る。
すると、向こうからまた友人が歩いてくる。
「お前ら、早く行きすぎっ、わ〜めっちゃ美人。え、てか飲み会の時の!」
綺麗な容姿の男の子が俺の事を見て、何かを思い出したような顔をする。
初めましてじゃないっぽいな。
んー?あ、あの時の子か。
「あぁ、潰れてた子か。」
「ちょ、印象最悪じゃないですか。百合斗の大親友の彼方楓です。」
ペコッとお互い軽く会釈をする。
まだ、俺の周りを飛び回っていたうさぎ少女の顔がいきなり間近に現れる。
その様子を見て、百合斗くんが止めようとしてくれているが、正直このような状況にも慣れっこなので、適当にならす。
「棗さん!棗さんって何してる人なんですか??モデル???」
「そんな大層なもんじゃないよ。何やってると思う?」
「ん〜??なんだろ。着物だから書道の先生とか〜?」
「書道家かぁ。まぁ、字に関するってとこでは惜しいね。」
「雛、あんまりズケズケと、失礼だよ。」
いきなりうさぎ少女の頭がガシッと掴まれる。
掴んでいる先には、黒髪美少女がいた。
申し訳なさそうに、謝ってくる。
「ははっ。全然いいよ。小説家だよ。」
「えー!!小説家さんー!!?
何書いてるんですか??」
あー、この質問きた、。苦手なんだよなぁ。
よく、女の子達にこの質問をされるが、知っている!って子には出会ったことがない。
「んー、あんまりみんな知らないかも。」
場を濁すと、うさぎ少女が黒髪美少女の方をバッと見る。
「ことちゃん本たくさん読んでるよね!!」
ことちゃんと呼ばれた彼女は、気まずさからうさぎ少女をキッと睨む。
「読書家なんだねぇ。」
俺の本ではなくても、本を読んでもらえることはとても嬉しく思う。
「じゃあ、俺の本も知ってるかな??全然有名じゃないから知ってた方が凄いんだけどね。」
つい不安から、保険に保険をかけてしまう。
「失礼ですが、ペンネームは?」
恐る恐る黒髪美少女が口を開く。
「夏目桔梗だよ。」
自身のペンネームを答えると、彼女の表情が固まる。
あー、気まず。
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