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第29話
しかし、余裕そうに見られているのか...。
結構我慢の限界なんだけどなぁ。
ぷーっと膨らましてる百合斗くんの頬をつんつんしていると、彼は俯きながらボソッと何かを呟く。
「………デスカ。」
「ん?何??百合斗くん。」
「モウ………カ…。」
「んーっと。お顔上げてくれないと聞こえないなぁ。」
「だからっ!!」
勢いよく顔を上げた百合斗くんに驚き背筋が伸びる。
「だから!もう!もう…!」
「もう?」
「もう…!これで終わりですか!!!………………………って、聞いたんです…。」
え?もう終わりですか?何が?
もしかしてちゅーの話?え、していいの?
「え、あの、百合斗くん?」
自分が言ったことに気付き、百合斗くんは逃げようと急いで立ち上がる。
「いや、あの、忘れてください……。」
「……………………。百合斗くん。座って?」
俺の手を振りほどこうとしていた手の力が弱まり、渋々俺の前に正座する。
「ふー。百合斗くんさ。俺になんでそんな余裕そうなのって言ったでしょ?」
「………………うん。」
「俺ね。結構我慢強い方なんだよね。小さい頃から、好きなおもちゃ取られても我慢できたし、めっちゃ好きだったお菓子食べられても何食わぬ顔してたんだ。」
「うん。え?なんの話し?」
「うん。だからね。好きな子と2人きりでちゅーなんかしちゃってさ。俺、もう少しで手出るとこだったんだよね。いや出してるんだけどさ。」
「………………ん。」
「でもさ、俺の好きな子、色々初めてだしさ、もう少し慣れてからの方がいいかなぁって思ってたわけ。」
「……………もう、いい。」
「え?もういい?いやぁ、でも伝わってるかなぁ。俺の好きな子さ、俺がちょっとキスしただけで顔真っ赤になるし、可愛すぎて色んなとこにキスしたくなるんだよね。」
「もういいから!!分かったから!!/////」
俺が早口でそう責め立てると百合斗くんは顔を今まで以上に真っ赤にしながら俺の口を塞ぐ。
ゆっくり彼の手をどけ、「帰る?」と聞く。
これまでにないくらい顔を真っ赤にし、小さく顔を横に振る。
「…………………帰らない。」
「うん。知ってる。」
そう言い、どちらからともなく口付けを交わす。
服の裾からゆっくりと手を入れ、張りのある肌を撫でる。
脊柱から肩甲骨へと指を通す。
「んっ。ふふっ。擽ったいよ漱石さん。」
本当に擽ったいんだろう。
身を捩らせながら笑う彼。
「んー?いずれ気持ちよくなるんだよ。」
彼の服を脱がせる。
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