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第32話

「ん?あら!久しぶりねぇ!!」 「俺飲みたかったやつはいったんでしょ??」 小学生みたいにウキウキしながら、カウンターに腰かける皐月の隣に俺も座る。 楽しそうに話してる皐月とママの会話を余所目に俺は、ぼーっとしながら酒を飲む。 「チリンチリン♪」 ドアの鈴がなり、重たい扉が開かれふとそちらに目を向ける。 「げ。」 「ん?えー!!!!!棗くんじゃーん!!!!さっちゃんもいるー!!!やばーーー!!!ちょーお久!!」 「……。ママ、お会計。」 「ちょ!まだ帰んないでよぉ!!俺と飲もうよぉ!!」 「チッ。」 このチャラチャラした男は、一色紬(イッシキツムギ)。 昔、遊んでた、言わばセフレだ。 「紬。お前相変わらず煩いな。」 「棗くんは、相変わらず挿れたい顔してるね!!」 「警察呼ぶぞ。セクハラ野郎。」 「キャー!コワーイ!!最初に声掛けてくれた時はあんなに優しかったのに、、、。可愛いねって言ってくれたのに、、、。」 「……………今すぐ忘れろ。」 「やーだ♡もう1回えっちしてくれたら、考えるんだけどなー?」 「止めとけむぎー。こいつ、恋人いんぞー。」 「え、さっちゃんそれま?棗くんが?恋人?棗くんまじで??」 「うん、だからお前もう俺に話しかけんな。」 「ひっど〜!!!えー!じゃあさっちゃんでもいいいよー。えっちしよーよー!!」 「えーむり。俺も恋人いるし。そもそも、むぎネコじゃん。」 「ちぇ~。ケチ。まぁいいや!今日飲みに来ただけだし。」 「……なんで隣なんだよ。」 席は十分に空いているのに、何故か隣に座る紬。 「久しぶりに会ったんだし、積もる話もあるよね~??」 「ねーよ。早く飲んで帰れ。」 「冷た~い!!僕のこと嫌いなの??泣いちゃう!!」 別にこいつのことは、嫌いでもないし好きでもない。 ただ、煩いからなるべくそばに居たくないだけだ。 一方的に話しかけてくることに対し、適当に相槌をうっていたら、いつの間にか外も暗くなってきた。 「•*¨*•.¸¸♬︎•*¨*•.¸¸♬︎」 そろそろ、帰ろうかと考えていると思っていたら携帯が鳴った。 百合斗くんからの電話だ。 「もしもし。」 「百合斗くん~?どうした??」 「あ!いや!特に要という要は無いのですが……」 「大丈夫??」 「え!!誰誰??彼氏??ねぇってば!!棗く~ん!!」 「おいちょっと黙れって。」 「??漱石さん、お友達と一緒ですか??」 「そうそう。ごめんね、騒がしくて。後で掛け直すね。」

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