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第7話
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引っ越し初日は、買い物から帰宅後ご飯をパパッと作ってそのまま床で寝てしまった。
慣れない環境と明日由磨に会える喜びで、いつのまにか疲れてしまったのだろう。
夢の中では、由磨に会えた。
「由妃」
そう言って愛おしそうに僕の名前を呼ぶ由磨。
その胸の中ではいつも安心して眠れた。
だから由磨の胸の中で眠る事を、夢で見ることが多くなった。そうでないと一人では眠れないからだ。
「由妃、大事な話があるんだ。聞いてくれる?」
珍しく夢の中で話しかけてきた由磨に僕は無意識で「いいよ」と返事を返していた。
「ありがと。僕と由妃はね、本当は…………」
本当は……………?
そこで目が覚めた。
あの夢は何だったんだろう。
由磨が僕に隠し事なんてあるのかな。
悶々とした気分のまま朝食を済ませる。
急いでお風呂に入り、身支度を済ませて、由磨との待ち合わせ時間を確認する。
やばい、待ち合わせまであと10分しかない。
駅までは歩いて7分はかかる。急がないと。
急いで玄関を出て駅へ向かう。
小走りで駅へ向かうと、駅前の信号が赤信号に変わってしまった。ギリギリだ…
駅前を見るともう由磨が待っていた。
由磨はこちらに気づいていなさそうだ。
久々に見る由磨は相変わらずかっこよくて。
センター分けの前髪もシンプルに纏めた服装も、優しい眼差しも、何もかもが昔のままだった。
早く由磨に触れたい…………
まだかまだかと、ハラハラしながら信号を待っていると、突然知らない男に腕を掴まれた。
「………やっと見つけた。由妃だろ?俺の事わかる?」
髪を短髪に切り揃えた少し柄の悪そうな雰囲気で、顎髭が更に威圧感を与えていた。身長は僕より10cmほど高くガタイも良い。しかも年齢も40代ぐらいで全く見覚えがない顔だった。
「……失礼ですけど、どちら様ですか?」
少しビビりながらそう返事をすると、その男はニカッと笑い僕の腕を掴んで路地裏へ連れて行こうとした。
「…っや、離してください。誰ですかっ……」
男の腕を引き剥がそうにも力の差は歴然でびくともしない。
どうしよう…
「まぁ後で教えてやるよ。まずは俺と良い事しようか。」
そう言って不敵な笑みを浮かべながら路地裏へと連れて来られた。
まずい、ここじゃ誰も助けてくれない。
由磨………由磨……………
助けて……
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