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第14話**

**** 「由妃、こっちだよ!早くおいで!」 「待ってよ、由磨。僕そんなに早く走れないよっ………待って、待ってよ………」 「おい、待てよ由妃。俺と楽しい事しようぜ。なぁ、由妃?お前はこうされるのが好きだよな?そうだろ?」 「やっ、やめてっ……こっちに来ないで……」 「下のお口が物欲しそうにしてるぞ?もう我慢できないのか?しょうがねぇなぁ……すぐに入れてやるからな」 「………んっ、やっ…………由磨…たすけ……」 由磨っ…………………… **** 「由妃っ!由妃!……大丈夫か?」 「はぁ………はぁ…………ゆ…ゆうま…?」 「そうだよ。……由妃、すごいうなされてた。怖い夢でも見た?」 そうか、今のは夢か………… あれ……… どこからが夢で、どこまでが現実なんだっけ… 昨日、僕は………… その時、急に僕の全身がカタカタ震え出した。 「ゆ、ゆうま…………ぼく……僕………」 「大丈夫、大丈夫だから。僕が側にいる。大丈夫。何も怖くないよ。」 そう言って強く抱きしめてくれる由磨。 それでも思い出してしまったんだ、 昨日の出来事を……… 記憶に蓋をする事ができたなら、一生思い出したくなかった……あんな奴の事忘れたかった。 一昨日までの自分に戻りたかった。 何も知らない僕に………… 「………ぐすっ………ゆ……ゆうま………」 「うん…………」 「僕…忘れたい………全部忘れたい………あの日の事………」 由磨の背中を強く掻き抱きながら、僕は必死に言葉を紡いだ。 助けて………由磨………… 「うん………無理しなくていい。ゆっくりでいいよ。」 そう言って由磨が僕の頭を撫でてくれる。 ………だけど、消えないんだ。 あの日の感覚が。あの時の言葉が。 口内を蹂躙する舌も、下腹部を揺らす動きも。 あいつが言った真実も………… 「由磨………由磨が上書きしてよ…………全部………消したい……たすけて………」 「…………っ、ゆ、ゆき…………それって…」 「…………抱いてよ、由磨…」

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