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第22話
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目を覚ますと、横には大好きな由磨の顔が…….
端正な顔立ちに、思わず見惚れていたら、
「………ん、おはよ。由妃」
「!!!!お、お、おはよう、由磨」
いきなり由磨が目を覚まし、心臓が飛び出るほど驚いた。そして、由磨を見ていると、昨夜の行為が脳裏に浮かび、とてもじゃないが顔を見て話ができそうにない……
すぐさま顔を背けた由妃を見透かして、
「昨日はありがとう。由妃と一つになれて嬉しい。」
そう言ってニコッと笑顔を見せるこの男は、なんて男らしいんだろうか……
照れて顔を見て話すことすら出来なかった自分が恥ずかしくなる。
「ぼ、ぼくもっ、由磨に抱いてもらえて、嬉しいっ…」
「フフッ、おいで、由妃」
そう言って大きく両手を広げた由磨に、僕は躊躇いがちにおずおずと近づいた。すると、ガバッと強く抱きしめられた。
耳元に由磨の吐息がかかり、また昨夜を思い出して妙な気持ちになってしまう………
あれ?ドクドクと心臓の音まで聞こえてきた。
やばい、由磨に聞かれる!
と思ったけど、これは僕の心臓の音じゃない……?
由磨の音?
「由磨、心臓の音すごい…」
「ハハッ、バレたか。実は凄く緊張してる。由妃が僕の腕の中にいる事が嬉しくて。」
照れ隠しなのか、額にチュッと口づけを落とし、またギューっと抱きしめてくれた。
「僕も緊張してるよ。由磨を感じられて嬉しい」
「………っ、由妃っ………」
優しく顎を掬い取られ、軽く唇と唇が触れた。そうして段々と深さを増し、いつの間にか舌を絡ませていた。
チュッ………クチュ………チュッ……
部屋には僕たちの愛の音だけが響いていた。
しばらく幸せに浸ってから、お互い顔を見合わせて微笑み合う。
家族ではなく、
恋人としての、
2人の朝が訪れた瞬間だった……
「朝食、何食べたい?」
「由磨のハンバーグ食べたい!」
「フフッ、朝からそれは重たいでしょ。
じゃあハンバーグは晩ご飯にしようか。
朝はトーストと簡単なものをつくるよ」
「わかった!ハンバーグ楽しみだなぁ。
朝食、僕も手伝うよ」
「ありがとう。じゃあ、まずは歯磨きからね」
「はーい!」
朝食を済ませた後、まだ由磨と一緒に居たかったが、今日は新入社員研修だ。休むわけにはあかない……
由磨も今日は午後から北海道へ出張があるそうだ。そして2日間は家を空けるとの事。
由磨は僕の事を心配して仕事を休もうとしていたけど、これ以上迷惑をかけるわけにはいかない。
前の家には戻らず由磨の家に帰る事。
毎日必ず連絡する事。
……を条件に、なんとか聞き入れてもらった。
そして、お互い身支度を終え、家を出る寸前…
「由妃!」
不意に由磨に腕を引っ張られたと思ったら、キスをされた。
チュッ………
「ふぇっ……?」
「フフッ、いってきますのキス。ただいまのキスもあるから覚悟しておいてね」
そんな甘い台詞を言う僕の恋人は、
今日も世界一カッコよくて、
大好きだ……
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