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第26話

*** 身体中が痛い………… 今まで感じたく事もないような激痛を全身から感じる。あぁ、そうか。昨日の悪夢は全て現実なのかと、覚醒していく頭でぼんやりと考えた。 ……疲れたな、こんな事ばっかりで。 目を開けるのも憚られる。 現実に戻りたくない。 できればこのまま眠っていたい。 そんな願いも虚しく、僕の目覚めがバレたらしく頭上から聞き覚えのある声が聞こえた。 「由妃はイケない子だ。お仕置きは楽しんでもらえたか?」 この声は、あの男だ…………… あの日、僕を犯した男。 僕の人生をめちゃくちゃにした男。 僕の父親だと名乗る男。 もう二度と会いたくなかったのに…… 僕は少しでも反抗したく目を瞑ったまま寝たフリを続けた。しかし、それは男にバレていたらしく… 「おいおい、由妃起きてるだろ?寝たフリはやめろよ。起きないと昨日の動画、由磨に送りつけるぞ?」 …………え??今何て…… 驚いた僕は咄嗟に目を開けて男を凝視した。 「ははっ、やっと起きてくれた。動画は既に送ってあるから安心しろよ」 「……な、なんで……。いつの間にそんな…」 「あー、由妃気持ち良くなり過ぎて飛んでたもんな?実は最初からずっと録画してたんだぜ?どうしても由妃を俺の物にしたくて…… 今頃由磨はどんな顔してるかな?楽しみだなぁ」 そんな……… 僕はショックのあまり小刻みに震え出した。 手の感覚も薄れて、歯がガチガチと震えて、もう頭の中がめちゃくちゃだ。 あんな僕の醜態を由磨に見られたなんて……… 酷い………酷すぎるよ……… パタパタッと涙がこめかみへ流れていった。 いっそ昨日の事も全て記憶から流してしまいたい……… 由磨……ごめんね。

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