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第28話 #由磨side

居ても立っても居られず、ここからどうにかなる距離ではないと知りながら、走り出した。 待ってろ……由妃。 僕が必ず助けに行くから………… 明日も外せない大事な仕事があるが、 それよりも僕が1番大事で大切なのは、由妃だ。 由妃は、僕の光だ。 由妃の為だったら何だってやる。 僕が由妃を護らなくちゃ……… 僕だけが由妃を護れるんだから。 そう自分に言い聞かせながら夜道を当てもなく走り続けた。 飛行機で明日の早朝に立っても早くて着くのが昼前だ。だったら、今から行けるところまで行ってそこから飛行機でも新幹線にでも乗ればいい。 かなり無謀な賭けだったが、今はこれが最短ルートだと思っていた。 そこで、また知らない番号から電話がきた。 どうせあいつだろう、と思いながら、今はどんな情報でも欲しくて急いで電話に出た。 「よぉ、由磨。さっきぶりだな〜?」 「なんだよ、言いたい事があるならさっさと言え!」 「まぁまぁ、そう焦んなって!……それよりお前今からこっちに戻ってくるつもりか?」 「もちろんだ、一秒でも早く由妃を助けに行く」 「それは関心しねぇなぁ。明日もそっちで仕事なんだろ?自分のせいで由磨がクビになっちまったら由妃はどんな顔するのかな?」 確かに由妃は悲しむだろうが今は由妃の安全が最優先だ。他はその後考えればいい…… 「それは、俺が説得するから大丈夫だ!」 「ククッ、お姫様の為に大変だねぇ。………だったらこっちにも手がある。俺も由磨に来られると迷惑だからな。お前が明日1日そっちに居るなら由妃には明日は手は出さないでおく」 こいつが約束を守るはずがない。 俺が戻らない方が都合がいいだけだ。 「そんなの信じられる訳ないだろ」 「じゃあこうしよう。俺が3時間毎に由妃の様子を動画で送ってやるよ。その代わりお前はそこを動くなよ。動けば位置情報でわかるからな」 「………もし動画を送らなかったら?」 「その時は……俺の事を煮るなり焼くなり好きにすればいいさ」 「そんなの信じられるわけ………」 「まぁ俺はどっちでもいいけど。お前が動けば速攻で由妃を犯しまくる。だけど、お前が1日そこにいるだけで由妃には1日の安息ができる。悪い話じゃないだろ?」 「…………」 「おいっ、何か言えよ!」 俺は決意した。由妃の為に……… 「…………わかった。」 「ハハッ、物分かりがよくて助かるよ。最初の動画は明日の8時に送る。今は由妃が寝てるから何もしねぇよ。じゃあな」 そうして、あいつとの通話は終わった。

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