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第7話

  僕は止めてと言わんばかりに、監督の手首を両手で掴んだ。その儘、快楽に流されて甘い汁を吸っていれば、余計な声(自分の声)を聞かなくとも済む事なのに、ホント、馬鹿。彼の前で張れる見栄なんてないのに、マジ、餓鬼。 強がって、何になる?と理性に言い聞かせても本能は自尊心に押し負けてしまう。フルフルと首を横に振って、彼の親指を口から引き出すとその儘下唇を強く噛み締めた。 すると、 「ホント、強情。サクラちゃん、俺と一緒に気持ちよくなりたくないの?」 彼はそう言って、僕の下唇を親指の腹でゆっくりとなどる。「ほら、口を開きなさい」とばかりに何度も優しく下唇を撫で上げて来た。僕はソレを必死に我慢するが、 「ん?どうなの?」 彼はそう言って上目遣いで僕を見ると、首を傾げた。そんな彼の可愛らしい仕草に、僕はキュンとする。だが、流石に、声がエロくないから我慢しているとは言いえない。欲情したメス豚発言過ぎる。 一人で悶々と悶えていたら、彼は「ああ」と言う顔をし、僕が掴んでいない方の手で僕の横髪をそっと撫で上げた。横髪を耳に掛ける様に撫で付け、耳裏をグリグリと撫でられる。その刺激で、閉じていた唇が開きそうになった。 下唇も耳裏も同時に撫で撫でとされるから、堪らない。堪え切れず、ピクピクと身体を大きく反らせば、膨れ立ち上がった僕の乳首を舌先で突っつかれた。余りの不意打ちに、「……ふっん」と甘ったるい吐息が鼻から抜ける。女の子みたいな声に、僕の方が驚いた。 「……えっ?」 そう声を上げれば、ソレもコケティッシュ。何で?と言う顔で僕が彼の顔を見たら、彼はクスクスと愉快そうに笑って、 「俺、マジック」 そう言う。意味が解らないと言う顔で再び彼の顔を見ると、 「サクラちゃんって、ペニス嘗められるより乳首嘗められる方が好きでしょう?」 そうしれっとした顔で言われてしまう。どっと汗が流れる様に血が体内を駆け廻り、瞳孔ががっと見開かれる。そして、その場が一気に羞恥へと晒された。 「……な!!」 と、僕は声を上げ、赤面する。そう大きく口を開いたら、尽かさず、彼の親指が僕の口の中に入って来て、舌先が彼の親指の爪に当たる。その間、ちゅーとシャツ越しにもう片方の乳首を吸われた。 「……ん、……や」 そう身体をよじらせると声が出た分、快楽が全身を走った。切なく眉が潜んだ。抜け切らない快楽に、感情がほだてる。 だが、彼は愛撫を止めてくれない。更に勤しむから僕は考える暇がなく、身体を震わせた。彼が触れる全ての場所が熱くて、僕の性感帯となっていた。 撫でられていた下唇がその腹を恋しがる。ちゅぷりと下唇ごと親指を口内に含んで、彼のモノが欲しくて堪らないと、でろでろと親指以外の指も嘗め始める。 「……は、……ん……、やぁ、ら……」 手を止めないでとねだる僕に、彼は物凄く上機嫌だった。 「ほら、サクラちゃん、俺に欲情して媚っている声出しているよ?」 ワザとそう言って蔑んで来るが、僕にはソレが甘美に思え、 「るい、……ぼくのことほしい?」 そう色気を出す。そして、こんな僕でも勃起すると言う顔で彼を見た。 監督が囁く声は、肯定でも否定でも甘くて堪らない。ビリビリと痺れて、僕を虜にする。僕は返事を待たずに彼をベットに押し倒し、その上に跨がった。 「……きょうは、ぼくがする……」 そう言うと彼は嬉しそうに、 「ああ、いいよ。俺はどんなサクラちゃんでも欲してるから」 そう返して来た。そして、何だか、エロテッカみたいだとも言って来る。 僕はエロテッカの意味が解らず、「エロテッカって、なに?」と首を横に傾げたら、彼は「知らなくってイイよ」と言って、僕に口付けして来てよと催促して来る。フに落ちないが、彼が知らなくってイイって言うんなら、そう大した事じゃないと、僕が触れるだけのリトル・キスを彼の唇に落とす。すると、彼は僕の首筋に舌先を這わせ、僕の喉を鳴らせる。 欲情したイヤらしい声が続々漏れ、僕は舌を出して喘ぎ続けた。羞恥よりも彼に欲情して欲しい方が勝る。 彼がこの声に夢中の間は、彼は僕だけのモノだから。 「……るい、…もっと……」 僕はそう言い、彼の股間を撫で上げた。僕が触れる度に大きくなる胯間に興奮する。耳許でふんと抜ける彼の吐息が悩ましい。 「サクラちゃん、直接、触って…」 そうねだって来る声も愛くるしく、僕は彼の望みを素直に聞き入れてしまう。右手だけではなく、左手も使って彼のバックルを外し、前だけを寛げて、彼の大きく育ったペニスを下着から放り出した。ドクドクと波打っているペニスは黒くって、淫乱だ。直接触るとなると、少しおぞましく感じた。コレが、僕の中に入るんだと思うだけで、身体がぞくりとして意味知らぬ恐怖で触れるのに怖じ気付いてしまう。  

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