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第10話 職場でかよ? 近江ヒロキside
休み明けに出社すると、センリの顔が…
「おはようございます、近江センパイ」
「おはよう、神田…っ?!!! センリ?!」
背後から声を掛けられて、ヒロキが振り向くと…
顔が無残に腫れて、アゴや頬に赤黒い痣ができていて、ヒロキは職場にいるコトも忘れて名前で呼んでしまった。
「うわっ…! 何だその顔は?!」
上司が慌てて口をはさんだ。
「いやぁ~… ボンヤリ歩いてたら階段から落ちて、こんな顔になりました! はははっ…」
ヘラヘラと機嫌良さげに笑って、センリは誤魔化すが…
「・・・・・・」
<オイオイ! 一体コイツは、何をやらかしたんだ?!>
どう見てもヒロキには、誰かに拳で殴られた痕にしか見えなかった。
ワヤワヤと同僚たちに揶揄われて、ヘラヘラと笑って誤魔化すセンリを、ヒロキは眉間にシワを寄せて黙って見つめていると…
不意にセンリが振り向き、ヒロキを見た。
「ああ、近江センパイ! ちょっとお願いしたいコトがあるのですが~?」
180cm越えのゴツイ男が両手の指を組み合わせ、上目づかいでヒロキにお願いポーズをする。
「お前はJKかよ?」
その姿を見て、同僚たちは苦笑し…
「違いますよ、こういうのはアザトイ系の隠れ肉食女子がやる技ですよ」
事務の女性が、クスクス笑いながら口を挟む。
「本当… お前、アザトイよな?!」
ヒロキは呆れ、額を押さえながら首を横に振り、口元に笑みを浮かべた。
ヒマさえあれば、ベッドを共にした1か月半…
その日によっては、セックス無しで一緒に風呂へ入り身体を洗いっこしたり…
ネットで調べたレシピで、仲良く2人で料理を作って食べたりと…
そんな日々の間に、時々見せたセンリの"お願い攻撃"に、ヒロキがとても弱いコトを知っていて、目の前の年下男はやっているのだ。
センリのお願いを聞くために、後に付いてヒロキもオフィスを出ると…
廊下の端までまで来て、周りに人が居ないコトをキョロキョロと確認し、ギュッ… とセンリはヒロキの腕をつかんで歩き出す。
「オイオイ、子供みたいに腕を引っ張るなよ… ココは会社だぞ? こらセンリ!」
小声でヒロキはたしなめるが…
グイグイと腕を引っ張られて、ヒロキはなぜか個室のトイレに連れ込まれ、嫌な予感しかしなかった。
朝イチでコレである。
自宅でなら、拒んだりせずヒロキも喜んで受け入れるのだが。
さすがに職場でコレは無いだろう? とヒロキは拒絶の意志を見せようと、分厚いセンリの胸に手を置いて突っ張るが…
そもそも2人の関係は、すでに終わらせている。
「お前、まさ…か… んっ…!」
ヒロキの抵抗などモノともせず、簡単にヒロキは唇を奪われてしまい…
気が付けば、自分よりも経験値が何倍も上の、年下男に器用な舌で蹂躙され、ほぼ無抵抗になる。
ソレでもヒロキは、常識のある社会人として頭のスミで羞恥を感じていたが…
ベルトを解かれ、下着の中にセンリの大きな手が潜り込み、蜜壺に指を差し入れられると、とたんに…
職場のトイレに朝から2人で籠り、プチュプチュプチュプチュと淫らな音を自分たちがもらしているのに、ヒロキの羞恥心は麻痺してしまった。
元々のオメガの性質は…
性にダラシナイというワケではなく、奔放というワケでもない。(例外はあるが)
アルファに対して、とても抵抗力が弱いダケなのだ。
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