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第19話 新生活2 ヒロキside

 2人でおそろいのエプロンを付けて、ネットで調べたレシピを見ながら、夕食の茶碗蒸しと、きんぴらゴボウを作った。 「うん、上手くできたな… 一週間、毎日違うおかずを作れるだけの、レパートリーも増えたし、家で気軽に和食が食べられるのは良いよなぁ…」  20代前半は、ヒロキも揚げ物や洋食メインでコンビニ弁当か、外食で済ましていたが…  最近は胃もたれするようになり、食事に興味を無くしかけていたのだ。 「そうだな、ヤッパリ炊き立てごはんが一番美味いし、自炊最高~!」  モグモグと幸せそうに、ご飯を食べるセンリの姿が、ヒロキには何よりも最高だった。 「確かに… センリと一緒に食事をすると、炊飯器のごはんがペロリと無くなるから、毎回、炊き立てのお米が食べられて僕も嬉しいよ」  それもお米は毎週、義父がこだわって自分で精米したばかりのモノを届けてくれるから、文句なしに美味しいのだ。  キレイに完食し、食洗器へ汚れた食器をヒロキが丁寧に入れていると…  風呂の用意を終えたセンリが戻って来て、キッチンでヒロキの腰を背後から抱き寄せ、耳にキスをした。 「あああ・・・ あのさぁ~ ヒロキに・・・ 一個、相談が合ってさぁ~ 風呂入った後ちょっとダケ、良いかなぁ~?」  珍しくおずおずと、センリは遠慮しがちに口を開いた。 「うん… 良いよ?」 <たぶんセックスのお誘いだな?>  ヒロキは頬をうっすらとバラ色に染める。  センリが起こした騒ぎで(つがい)(ちぎ)りを結んで以来ヒロキの体調が悪く、退院しても医者から夜の性生活は止められていたため…  せっかく結婚しても寝室は別々で、2人は一度もセックスをしていない。  今日の仕事が終わると、ヒロキは先週受けた検査結果を病院へ聞きに行き…  ようやく医師の許可が出て、今夜から性生活の解禁だと、早速センリにメールを送った。  風呂から上がりヒロキはタオルで髪を拭きながら、先に風呂に入ったセンリの寝室へ行くと…  ベッドに座り上半身裸のまま、センリは腕組みをして、壁の一点を睨みつけながら、何やら難しい顔で考え事をしていた。 「センリ?」  声をかけるまで、ヒロキが真後ろに立っていても、センリは気付かなくて… 「わっ! ヒロキ、いつの間に?!」  ギョッ… とセンリはベッドの上で飛び跳ねる。 「相談があると、言っていただろう?」  隣りにポスンッ… と腰を下ろし、ヒロキがセンリを見上げると… 「ああ… うん…」  気マズそうに、センリはヒロキから目をそらす。 「センリ?」 <あれ? セックスがしたいという話では無いのか?>  ヒロキは予想が外れガッカリする。 「実はね、ヒロキさん」  意を決したという感じで、センリがヒロキと目を合わせた。 「はい?」  さん付けで、センリがヒロキの名前を呼ぶときは、とても真面目な話がある時だ。

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