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第18話 阿呆はどっちなんだ
ごめんなさい、ごめんなさいと謝り続ける薫に、
「薫……傍に……いたぅいっ……」
そう言って縋り付く俺。
自分がこれ程までに取り乱した姿を晒すとは、落ち着け! 俺! 薫に抱き締められながら一生懸命思いを伝えた。
高校で止まってしまったふたりの時間を取りしたいと懇願した。だが、
「誠、僕もそうしたい、出来ることならそうしたいけど。でも……話したでしょ
僕は汚れきってるんだ。何百人の男が、いやもっとだよ。もう訳分からないくらいの数の男達の唾液 汗 精液 脱糞 尿が、この皮膚を浸透して行った。いくら洗い流しても、流しても……流しても取れないんだよ……誠……」
号泣する薫を抱き締める俺もぐちゃぐちゃになっている。
「お願い! お願い! もう独りにしないでくれ。薫だけを思っているのに、他人の人生を巻き込んで、自分を誤魔化して生きるのはもう嫌だ! 頼むから離れないで……ああ」
俺から無理矢理離れようとする薫を捻じ伏せる。
「痛い……誠痛いよ……」
「ごめんね。でもやめない。俺から離れないって言うまで離さない」
それを聞いて抵抗するのを止めた薫は
「誠に相応し人が必ずいるから。ねっ
だから僕の事は諦めて」
クソ! クソ! クソ! なんで通じないんだ! この気持ちが……俺は俺は薫が良いんだ! 薫じゃなきゃ駄目なんだ!
「誠……嬉しいよ……でも……」
もういい。何を言っても聞いてはくれないんだな。自分を蔑みまくりやがって。でも……俺は引かない。
「判った……俺の最後の我が儘だ。絶対聞けよ! じゃなきゃ……ここにいつまでも居座るからな!」
俺は決めていた。今夜一晩中薫を抱く。寝かしてやるものか。
そして……そして絶対に離なさない。
薫! 覚悟しとけよ。俺は本気だぞ。
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