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第20話 俺の宝物

 俺は綺麗に薫を洗い、バスタオルで 丁寧に拭き上げた。 薫も俺の体を優しく拭いて、バスタオルとフェイスタオルを結構な枚数持ち、空いてる手を俺に絡ませてきたが 次の瞬間、薫にガウンを無理矢理羽織らされた。 「すぐに脱ぐのに~要らないよ!」 そう言う俺を薫は本気で怒った。 「何言ってるの! お行儀悪い!」 お行儀って……プッまぁ確かに、まっぱは駄目だよな。 かと思えば,急に申し訳なさそうな声を出して謝る。 「ごめんね。あのね……まこちゃん……ゴムもローションも置いてないんだ」 俺は意気揚々! 余裕綽々! で答えてやる。 「ゴムはある!」 物凄く自慢げに言い放って、鞄の「何かあったらグッズ」を取り出すと、そこからゴムを出した。 薫は興味深く見ている。 「へえ~誠は準備良いんだね」 感心されてしまった! 実は部下の八田に言われて常備するようになった。 そこは俺も男だからな、もしもの時、 可及的速やかに出せば、絶賛されると言われて半信半疑で用意したのだが、よもやここで使うことに為るとは! でも薫が褒めてくれたから、あいつを褒めてやろう。 「ローションはなんとかなるよな」 と言い切る俺の顔見て吹きだしている薫。 「ところで本気? 本気で抱いてくれるの? かおの事」 なんて可愛い聞き方~かおちゃん! 「本気の本気だぞ」 薫はベッドにバスタオルを三枚重ねで敷いた。 「ごめんね。もしかしたら粗相為ちゃうかも。シャワ完して貰ったけど……  緩くて。だから絶対ゴム為てね。ばい菌入ったら大変だから。でも……やっぱり情けないよ。まこちゃんにこんな姿晒すなんて」 涙ぐむ薫を抱き寄せ、 「薫……それは言わない約束したろ? 俺が抱きたいって言ってるんだから、安心して俺に任せて」 泣きながら頷く薫の涙を吸い、唇に啄むようにキスを落としていく。 抱き付いてくる薫が少し笑ってくれた。どうしよ! 心臓が壊れるよ。 可愛い、可愛いよ薫! どうしようもなく好きだよ。 ベッドに寝かして、できるだけ薫が楽な体勢にしてやりたい。 「まこちゃん……甘えて良いの?」 「勿論。何でも言って! 高校の頃と同じだよ。かおちゃんの仰せのままにだよ」 「ではまこちゃんキスを沢山下さい」 俺たちだけの時間。 高校時代、薫は俺のお姫様だった。 俺だけの 俺だけの 薫だったんだ。

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