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第24話 俺はペテン師

 俺はやっと心も体も落ち着ついてきて  薫に抱かれて微睡んでいる。薫からも寝息が聞こえてくる。疲れたよな、色々な事がお互いあり過ぎて怒濤の一日だった。 午前三時……目を閉じているのが勿体ない。そして怖いんだ。夢だったらと子どもみたいに不安になる。ほっぺたを抓って痛くても信じられない。  然し俺はメロメロだなぁ。そりゃ当然なんだが、薫から発せられるものは すべて可愛くて愛しいんだよ。たとえおならであっても。笑える、マジ可笑しくなっている。でもそれで良い、それが幸せだって思ってしまう自分もまた愛おしい。  薫の耳元で囁いてみる。熟睡しているんだからこのくらい言ったって構わない だろう? かおちゃん。 「薫と一緒に暮らしたい。ずっとずっと」 突然目をぱっちりとあけた。 心臓が止まるかと思った。  「嘘! 寝てたんでないの?」 薫は真顔で、 「隣でモソモソ為ているから……それよう誠話しが違いますよ。今夜だけの約束でしょ? だから……僕は……」 「俺は嘘つきなんだよ! 大嘘つきなんだ。最後のお願いなんてくそ食らえ!」 そう言って掛け蒲団に顔を埋めている俺に、薫は子小さな供をあやすように頭を撫でくれる。 「誠……こんなに穏やかな、そして心から幸せだって思えるセックスを為たのは 高校の時以来だったよ。いっぱい愛してくれて有難うございました。 でもね、僕は最低な男なんだよ。 想像を絶する暴力もセックスも、ある時期を過ぎたら快感になってしまった。 やっている奴らは大嫌いだったけど……その行為は強請るようなってしまってね。毎日毎日セックスで生きてきたから 脳ミソの皺がそれしか考えられ無くなって行ったんだよ。……身請けされてからも禁断症状みたいのが出て、酷い有様だったの。今だってそれは変わらない。 完全に爛れてしまっている。 スイッチが入ると理性は飛んでしまうんだ。忌まわしくて、最低なセックスを望んでしまう。変態なんだ僕はね、本当悔しいけど。そんな姿は絶対に誠には見せたくないの。だから……ごめんなさい」 薫の心を何とかしたい。その泥沼から掬い上げたい。悔しい気持ちも 疼く体も 全部俺の物になれ。全部俺が引き受ける。俺は何を聞いても、どんな醜態だろうが何とも思わない。 奇跡が起きて今薫が目の前にいるんだぞ。 それをなぜ諦めなくてはいけないんだよ。馬鹿薫!

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