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第28話 たわいない事も……

 ふたりで過ごす一日はあっと言う間に過ぎていく。 些細な事も言葉にして相手の想いを聞く事がこんなにも楽しいなんて知らなかった。これが幸せなんだよ。 ちょっとした口喧嘩も感動してしまう。 「なぁ薫~機嫌直して……なぁ~」 「マコ嫌い! もう知らない! 僕はお揃いにしたいって言っただけなのに。 誠……笑うんだもん」 「だって……お茶碗なら今使ってるのでいいかなあって」 まじて四十前のオヤジがこんな事で喧嘩するか? 笑っちゃうよう。 俺は喧嘩しているつもりはないけと。 薫が…ったく可愛い~可愛すぎるだろ。 「悪かった。薫が可愛いかったから笑ったの。許してよ~じゃあ今から買いに行くよ」 後から抱き締めて耳元にそう囁くと、 振り向いた薫は目を輝かせ抱き付いてきた。 こんなどうでも良いことが、俺たちには新鮮……いやはじめての経験なんだ。 「誠……嬉しいよ。これからずっと傍にいられるんだよね」 「そうだよ。夢みたいだよな。でもこれは現実だ。これからは一緒生きて行くんだよ~だから~お茶碗もお椀もお箸 パジャマもパンツも全部お揃い」 薫は顔を真っ赤にして睨んでいる。 「嬉しくないの?」 「嬉しいに決まってる! けど馬鹿しているから、お仕置きた!」 柔らかなキスと共にソファに押し倒された。 「お茶碗ンン~どうす……」 「後で……ねっ」 一緒にいるってこう言う事! そう言う事! 暫くは高校生に戻るぞ! 俺はこの台詞を何回言ってるんだ……

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