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第30話 ハズい俺たちだけど
俺は頑張った! 八田が感動為るぐらい。
「川辺は駄目だ月曜日! を返上しましたよ。素晴らしぞ!課長! 俺は鼻が高い!」
おい! ため口止めろよ。そりゃ当たり前だろ、薫のためなら何だって出来るんだ。
それからなぁ、お前の鼻実際は物凄く低いから。
「それにしても春木さんの力は絶大ですね~」
「そうだろう? そうなんだよ……ちょっと待て……お前なんで?」
「はぁ? 今頃なに言ってるんですか、
俺をあまり見くびらないでくだい。オレは八田ですから!」
「俺判りやすい?」
「俺だから判ったの」
ピロロリン……薫からだ! 平常心平常心で開くと……目に鮮やかならハートマークがポンポンポン。もうなんて何処へやら。
💖用意できたよ。来られそう?💖
💝💝屋上のいつもの所で待ってる💝💝
💓了解! 今行く💓💕💕
うふふ、こんなライン貰ったことも送ったこともない! いや照れるよ~薫。
「なに溶けてるんですか? 見てる方がハズいわ!」
「うるせえよ。俺は昼入るか。1時半ぐらいには戻るから……」
「早く行けよ~おっさん。クククッ。はいはい何かあったら携帯バリ鳴らしますから。いってら~」
今頃八田の言葉は、虚しく漂っているはずた。何故なら俺は瞬間移動したんだ。
嘘です。逢いたくて逢いたくて猛ダッシュ。
「薫?!」
電気室の影から、ひょっこり顔を出すと手招きしてる。もう! もう! もう! 好き! 抱き付いてキス責めにしてやった。可愛い声で啼くし……しちゃうぞ!
見透かされてる俺の下心。
「誠! まずは何?」
「まずは食事! 食べ損なう事は絶対
いけません。体が資本ですからね」
「はい! 正確! お手拭きとお茶。
それでは~お弁当の発表です。
お魚はメインが鯵の南蛮漬け。
お肉は鶏胸肉のチャーシューと八宝菜
どうする?」
「鯵!」
薫は何から何まで準備して渡してくれる。
俺たちは小さな声で
「いただきます」をして食べ始めた。
「美味しい! 薫美味しい」
「よかった! でも明日は作るからね」
頷く俺の頰に軽くキスを落して
顔を赤らめる
「食べたら 少し触って良い?」
「ばかそんなこと聞かない! 恥ずかしいでしょ」
俺は高校の屋上を思い出していた。
急いで食べ終えると、薫を急かしながらいつもいつも腰を抱き寄せていたんだ。
そうだった! 薫の腰! 腰を……
「ゲホッゲホッ~苦し~」
「誠お茶飲んで! もうぉむせるからそんなに急いで食べないの。って言うかちゃんと両手使わないと駄目でしょ? こぼすし」
腰の手はそっと外され、笑いながら睨む薫。
何を言われても嬉しい! 怒られても嬉しい! どうしよう俺。
「大丈夫? お口開けて、はいチャーシューあ~ん」
「あ~ん」
涙が溢れる。薫も涙ぐんでいる。
こんなおっさんでも嬉しいんだよ。
大切な人とこうしていられる事が。
傍から見ればいってしまった二人西が見えんだろうが……それで良い。
薫が滲んでいる……
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