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第15話
爽良と連絡先を交換しようとするとどこから湧いて出てきたのかわからない莉羽がいて、その莉羽に爽良との連絡先を交換することを止められた。
え、なんで?なんでなの?
莉羽は僕の肩に腕を回していてそれを見た爽良の目が鋭い目線になったことを僕は見逃さなかった。
「なに?知り合いなの?」
いやそもそもこの空気はなに?怖い。
「そうだけど?だから連絡先交換はなしな」
「は?なんで莉羽に決められなきゃならないの?意味わかんないんだけど」
「は?そんなの俺の知り合いだからに決まってんだろ。バカなこと聞いてくんじゃねえよ」
え、ええと……この二人はなんでこんなにバチバチしているんだろうか。
そもそもなんで莉羽は僕が爽良と連絡先交換することを止めるんだ?
爽良の言う通り決めるのは莉羽じゃないと思うけど……
「知り合いだけなら関係ないでしょ」
「教えねえって言ってんだろうが。そもそもこいつは俺のファンだし。俺のファンとるな」
うんうん、確かに僕は莉羽のファンだ。
だけど喧嘩しないでよ……喧嘩する理由がわからないってば……
「行くぞ」
「え、ええ!? ちょっ……!ご、ごめんなさい〜!」
莉羽に腕を引っ張られて爽良のいた所を後にした。
「あ、あの……痛いんですが……」
そう伝えると急に立ち止まって僕の腕を思い切り振りほどいた。
「お前……キモイよ」
「そ、そんな唐突に!?」
「なに浮気しちゃってんの?お前は俺のファンだろうが。なんで爽良の顔まで書いてんの?」
ええ……逆になんでこんな怒ってんの?
確かに勘違いさせるようなことした僕が悪いけどそんなに怒んなくてもいいじゃん……?
「ご、ごめん……けどA席のチケットくれたの爽良くんだからお礼のつもりで……」
「は?なんで?どこでチケットもらったんだよ」
「……牛丼屋」
「は?」
こ、怖いです。莉羽様……
そしてライブお疲れ様です……莉羽様……
「だからって爽良の顔まで書く必要あんの?」
「それはお礼のつもりで……」
「お前のその手で!書いていいのは!俺だけだろ……」
え、なにそれ。可愛い。え、可愛い。
僕の推しがものすごく可愛い。キュン!
「ご、ごめんね……?もう書かないから」
「ッチ。クソオタクが」
まあ確かにそうだよね。
あんだけファンだとか言っといてそういうことされちゃいい気はしないよね。
団扇を書かせた凛太郎を殴っとくね(凛太郎は関係ない)
「おい」
「は、はい!」
「今日は帰るからそ、そのご飯、食べたい」
「え?僕の手料理が食べたいってこと?」
「言わせようとすんなキモオタ」
愛の蹴り。尊い!ありがとうございます!
い、痛い……
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