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第16話

「今日のご飯はビーフシチュー♪ルンルンルン♪美味しくなーれ♪」 「なんだその歌、きしょ」 当たり前にテンションは高くなるでしょう。 だって莉羽が僕の手料理を食べたいとか言ったんだよ? 可愛すぎてキュン死だよ!キュン死!キュン! ご飯だってフランスパン出してあげたかったらビーフシチューにしたんだよ? しかも一緒に食べるの久しぶりだよ? 「久しぶりに一緒に食べれるから嬉しい」 「いちいち言うな」 「勝手に口が動いちゃってさ」 「……あっそ。風呂入ってくる」 「はーい」 こんな幸せな日なんてもう二度とこないんじゃないかと思うくらいに僕は今、幸せで堪らない。 何が一番嬉しいかってそりゃ僕の手料理を食べたいとか言っちゃうところだよね。 ライブも最高だったし、やっぱり莉羽は僕の推し!一生ファン!はー尊い。 「マカロニサラダも作っちゃお」 それにしても……最近の莉羽に対していつもとは違う感じの感情が出てくる時がある。 ライブを見てても画面越しの莉羽を見ててもファンだという気持ちはもちろん変わらないんだけどそれ以上になにかもっと―― 「出た」 「あ、おかえり」 まあいっか。そんなことは。 「ご飯できた?」 「うん!莉羽くんの好きなフランスパンもあるよ!」 「ああ、さんきゅ。てかお前、莉羽でいい」 そういえば僕はアイドルの莉羽は莉羽って呼んでるのにプライベートの時は莉羽くん呼びだ。 えへへ、改めてそんなこと言われちゃうと恥ずかしいな。 「莉羽!」 まあ全然呼ぶんだけどね? 「……。ご飯冷める」 「そうだね!食べよっか」 こうして僕のご飯を食べている莉羽もすごく尊くて、もうなんか見てるだけでお腹いっぱいになっちゃう。重症だわ。 「おいし?」 「うん、美味い。揺瀬のご飯が一番うまい」 「え?」 「なに」 「ううん!なんでもない」 ほらまただ。なんか心臓が痛くなる。 なんだ、なんだ、なんだこれ。 目の前にいる莉羽が綺麗すぎておかしくなっちゃったのか? 「最近さ……いややっぱなんでもない」 「は?なんだよ言えよ、気になんだろ」 いやなんかこれは莉羽には言っちゃいけないような気がする。 「いやなんかお肌の調子が悪いなあって思って」 「女子かよ」 「莉羽いっつもスキンケアしてるし今度僕にもオススメ教えてよ」 「まあいいけど……」 ヤバい……熱狂的オタク魂が狂い始めているかもしれない。 ごめんごめんごめんなさい……!莉羽様……! このよくわからない痛みをすぐさま消すのでまだまだファンでいさせて下さい……!

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