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第17話
『お前ら今日は転校生来るぞー。なんか最近、話題のアイドルらしいけど学校までバレたら大変なことになるから黙っといてやってくれよー』
僕はあの痛みについてずっと考えていた。
莉羽が僕の料理を美味しそうに食べる度にギュンってなって、莉羽が僕のことを褒めてくれる度にギュンってなって……このギュンは一体なんなんだ?キュンじゃない、ギュンなんだよ。
〝ガラガラーッ〟
莉羽に相談しようと思ったけどなんか莉羽には知られちゃいけないような気がして言えなくて、知ってしまえば莉羽がどこか遠くに行ってしまうんじゃないかと不安になる。
いやいや、そうじゃない。まず莉羽が僕の家にいることが奇跡なんだよ。何言ってんの?僕。
「初めまして。速水莉羽です」
『え!? 莉羽ってあの!? LieNの!?』
『やばいやばい!本物!イケメンすぎ……』
ん?なんかやけに教室がザワザワしている。
はっ……!まさか小テストとか!?
やばい……最近はずっとLieNに時間を費やしすぎた……
「揺瀬。何悩んでるの?」
「悩んでな――え!?り、り、莉羽!?」
悩んでないと言おうとしたらなぜか僕の隣に莉羽がいたんだけどなにこれどういうこと?
なんで莉羽が学校なんかにいるの?え、夢?
「夢じゃないよ」
僕の心まで読めるとかエスパー!?
夢じゃなかったらなんで莉羽がここに……ってしかも席は僕の隣だって!?な、な、な、なんで!?
『おーお前ら知り合いか?』
「はい、友達です」
『じゃあちょうどいい。高月〜色々教えてやれよ』
「は、はい……」
友達なんておこがましいってば!!
神様はどうしてこんなに僕に試練ばかりを与えてくるんだ……?心臓が持たなくなってしまうじゃないか……!!
「よろしくね?揺瀬」
あ、アイドルの顔だ。まあそりゃそうだよね。
僕に接するように対応してちゃ何言われるかわかんないし、ネットは怖いから。
「う、うん……よろしく」
それにしても制服姿まで様になるなんてさすがアイドル、僕の推し!!
目の保養だ。ストレス解消になる!生きててくれてありがとう莉羽!
「後で話あるから昼休みどっか話せるとこ行かない?」
「あ、はい……!わかりました!」
話ってなんだろう。
ま、ま、まさか!?居候やめるとか!?
やだよ!絶対やだ!それだけは阻止せねば……!
隣にいる莉羽を見て思った。
莉羽はアイドルで忙しいはずなのに勉強も完璧で皆から愛されててどこ探しても本当に欠点がない。
僕とは住む世界が違ってやっぱり推しなんだなって再確認して。
莉羽は僕といてなにか得するの?
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