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第19話
「僕もバイトでもしようかなあ……」
「どういう風の吹き回しだ?」
莉羽のドラマ主演が決まってから本当に莉羽は家へ帰ってくることはなくなった。
けど毎日、自撮りつきでLIMEをくれる莉羽。
尊い……!尊いぞ……!
「いや〜莉羽がもっと人気になってくるだろうし今後のためにお金を貯めようかなと」
「あっそ。どこでバイトすんの?」
「ん〜凛太郎的にはどこがいいと思う?」
「いや知るかよ。自分で決めろよ」
「プンプン」
「可愛くねーぞ」
莉羽をもっともっと幸せにするためにバイトを始めよう!と意気込んでみたものの自分に合うバイトがわからない。やっぱ初めは接客業……?
いや時給重視するか……?
「あっー!!!」
「なんだよ、うるせえな」
「本屋だ!本屋さんでバイトしよう!」
「な、なんで本屋なんだ?」
「だって!莉羽が載ってる雑誌をずっと拝めれるじゃないか!」
「はー……キモ」
そうだ!本屋がいい!僕って天才だ!
バイト中も莉羽の顔を拝めるなんて幸せすぎるだろ。よし!決まり!それじゃ僕はこれから直接、本屋に行ってくる!
「凛太郎!アデュー!」
「お、おう?」
確か僕の家の近くに新しくできた本屋があったような……?
僕のために新しくできたようなもんじゃないか!
〝カラン〟
本屋に入った瞬間、僕は愕然とした。
だってだってだってだってー!!!
LieNコーナーがあるんだもん。LieNコーナーだよ?嬉しくてニヤニヤが止まらないぞ……!
「いらっしゃいませ」
おっと、危ない。
僕は今日バイトをするためにここに来たんだった。
「あ、あの……すみません」
「はい?なにかお探しでしょうか?」
「あ、その……ここってバイトの募集とか……」
僕の言葉に店員さんの顔がパッと明るくなった。
「今すぐ働いて!ほら着替えて!」
「え?え?着替えてってどれに……」
「更衣室入ったらあるから!ほらほら!」
「え、ええ……」
背中をグイグイと押されて更衣室に放り込まれた。
こ、これは採用なのか……?採用だよな……?
僕って本当にある意味、運がいいのかも?
更衣室に置かれてあった制服に着替えてレジの方へと向かった。
「着替えたんですけど……何したら?」
「ここはね満喫みたいな所だからそこまですることないの。だから好きにして〜レジもセルフだし、店閉める頃には戻ってくるからよろしく!」
「ちょ、ちょっとー!? 行っちゃった……」
店に入ってきたほんの数秒間で一人で働かされるとかある?
まあ楽そうだからいいけどさ……
あの人が店長かどうかすら僕、知らない。
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