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第24話
「それでどうしたの?」
「……」
なんだなんだ……?久しぶりに顔を生で見たせいで僕の心臓がうるさいぞ……!
「オタ友の子ってあの子?」
へ……?そんなこと聞くためにわざわざ呼び出したの?可愛いんだけども。
生きてるだけで罪だね。可愛さの罪。
「うん!さーちゃん!」
「……なにがさーちゃんだよ」
「え?」
どうして莉羽はこんなに機嫌が悪いんだろう?
もしかしてちゃんとご飯を食べてないから栄養不足なんじゃ!?
まあ僕も莉羽が帰ってこないから毎日、外食で済ませてるけどさ。
「……好きなの?」
「え……っと……莉羽のこと?」
「はあ?あの女だよ、わかるだろうが」
好き?好きって?そりゃ友達だし好きじゃなきゃ一緒にいなくない?
「う、ん……?まあそりゃ好きでしょ。友達だし」
「……俺が言ってんのは恋愛感情で見てんのかって言ってんだよ!」
僕がさーちゃんを?ないない。
そもそも僕に恋愛感情っていう感情すらわからないし、出会ったばかりだよ?オタ友以上でも以下でもないでしょ。
なんか……今日の莉羽は……変だ。
「見てるわけないよ。莉羽のことでいっぱいいっぱいだよ」
「は?なにそれどういう意味?」
「え?だから僕は莉羽のファンでどうしようもないほどのオタクで莉羽に貢ぎまくってて――」
「もういい、よくわかったよ」
なにが?莉羽はなんでそんなことが気になるの?
栄養不足で頭が回ってないんじゃ……!?
なんか痩せてる気がするし。僕の推しが……!
「莉羽ちゃんとご飯食べてる?ドラマの撮影はどんな感じ?大変?」
やばい……質問攻めしすぎたかもしれない。
単純に推しの心配してるだけだから許して……!
「お前のご飯が食べたい。撮影は……まあぼちぼち。後1ヶ月我慢すれば少し落ち着く」
「僕も莉羽がいないから自炊してない……無理はしないでね!よく寝てよく食べてそして僕に貢がせ――」
ドスッ
「きめえ発言すんな」
「は、はい……すみません」
莉羽の蹴りはすごく痛い……痛いけど……僕のお尻も喜んでるぜ!
で……結局、莉羽が僕のこと呼び出した理由ってさーちゃんのことだったの?
まあなんでもいいか〜!!僕のご飯が食べたいって言ってくれたし!!
でもさ莉羽がそんなこと言ってくれる度にやっぱり胸がギュンってする。
僕もなにかがおかしい。このギュンは本当になに?
「揺瀬」
「は、はい!」
「なに考えてんの」
莉羽のことを考えてました……!なんて口が裂けても言えない。
「はあ……なんだろう……この気持ち」
「なにが?」
やばい、つい言いそうになった。
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