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第25話

そういえば僕のために学校に通ってくれたのに学校すら来ていない。 まあドラマの主演が決まったらそりゃ忙しいよね。 今日話せたのは嬉しかったけど顔が疲れてる顔してた。 「さーちゃんお待たせ……ってどうしたの!?」 僕が莉羽と話している間になにがあったかのはわからないけど、さーちゃんの口元は緩みまくってて「ぐへへ〜」ってまさにオタクの顔をしていた。 「じゃあ咲月ちゃんまたね?」 「は、は、は、は、はい……!」 だめだ!さーちゃんがオタクの世界に入り込んでしまっている……!救出せねば……! 「あ!拓也がファンに触られてる!」 「あ?」 「はい、おかえり」 「はっ……!やばい夢から出れなくなるところだった」 さーちゃんはあれからずっとニヤニヤとした顔が戻らないみたいで自分の顔を何回もパンパンと叩いていた。 それでも勝手に緩んでいく唇は面白すぎた。 「さーちゃんよかったね」 「ライブは何回も行ってるけどさあんな近くで……しかも喋れたのは幸せだよおおお。ところでゆっちは莉羽と何話したの?」 うう……言えれない。ごめん、さーちゃん。 これは絶対秘密なんだ。僕と莉羽の秘密。 秘密……?僕と莉羽だけの……?な、なんかこの響すごく嬉しいぞ……! 「男の子のファンなんて珍しくて嬉しかったって話してくれた」 「まあ確かにさ男の子のファンって少ないもんね〜」 「気持ち悪がらない莉羽に感謝だよ」 「気持ち悪いわけないでしょ!? 寧ろ嬉しいはずだよ!」 「アハハ〜、だといいけど」 莉羽がファン思いなんてことは知ってる。 ――自分みたいななんて言うな。 そう言ってくれたんだから。 「きもい」いつもそう言ってくるけど本当は優しいなんてことは劇場で踊っていた時から知ってる。僕はずっとずっと莉羽を見てきたから。 「そろそろ暗くなってきたね〜。夜ご飯でも食べて帰る?」 「賛成!拓也が好きなラーメン行こ!」 「本当さーちゃんってオタクだね」 「ゆっちが言う!? バイト中ずっとLieNのコーナー愛おしそうに見つめてるくせに」 「えへへ〜 確かに〜」 莉羽が帰ってきたら好きだと言ってくれた野菜たっぷり雑炊を作ろう。 ピコン 〈明日学校行くから〉 な、な、な、な、何だって〜!? 明日も莉羽に会えるだと〜!? 「弁当作ってあげよ」 「誰に作ってあげるの〜?」 小さく呟いたつもりがさーちゃんに聞こえていたみたいでニヤニヤとしながらそう聞いてくる。 「じ、じ、自分にだし!」 「へえ〜? 好きな子いるんだ?」 「え?なんで?」 「え?だってわざわざ弁当作ってあげるなんて好きだからじゃないの?」 好きだから……?そりゃ莉羽は好きだけど推しのために何かをしてあげたいって思うのは普通じゃない?

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