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第26話
ジュー……
ジュー……
「よし!完璧!」
今日は莉羽が学校に……ということで僕は弁当を作ったのだ!
「タコさんウインナー喜ぶかな?えへへ」
弁当を持っていざ学校へ出陣だー!
『莉羽くんー!久しぶり!』
『ドラマ決まったんでしょ?楽しみ!』
『絶対見るからね!』
プンプン。学校へ来た途端に僕の目に映ったのは女子達に囲まれる莉羽の姿だった。
なーにが「本当?嬉しい」だ!アイドル顔しやがって!コノヤロウ!
「あ、揺瀬おはよう」
「ふん!おはよう!今日も尊いね!ふん!」
「……?」
僕の方が莉羽のファン歴長いんだぞ!!
いつから莉羽のファンをしてると思ってるんだ!
いや寧ろ僕はファンを超えてオタクなんだ!キモオタなんだぞ……!(自分で言うな)
まあでも僕だってわかっている。
莉羽は皆のものだから。仕方ない。アイドルだし。
世界中で何百万人とファンがいる、僕達とは住む世界が違うのだから。
「久しぶりだったのに……」
今日という機会を逃してしまったら次いつ会えるのかなんてわからないじゃないか。
「もうー!莉羽のバカー!」
「あ?バカはお前だろ」
「うわああああ!!り、莉羽!?」
「明らかにショックがってんじゃねえよ。キモオタ」
り、り、莉羽だー!
あの女子軍団から抜け出せたのか……!
「だって今日逃したらまたいつ会えるかわからないでしょ?」
「……お前はそういうこと普通に言えちゃうんだな」
「……?」
莉羽が言っていた意味はわからないけど多分僕がバカだって話だよね?
そうだよ!僕はバカだよ!莉羽のことになるとバカになるんだってば!!
「揺瀬はさ恋とか……したことある?」
「恋……?ないかも。僕さ恋愛感情とかわからないんだよね。人に興味がないっていうか。けど莉羽を見た時、初めて人に興味を持った。美しい、綺麗だって思った。あっ……!ごめんごめん!莉羽のことになると話が止まらなくなっちゃって……」
だからこうして何年もオタクでいるんだから。
「なんで?なんでやめんの?揺瀬の話もっと聞かせろよ」
「え……?」
嬉しかった。莉羽が僕の話に興味があるなんて嬉しくて堪らなかった。
「僕の話なんていいよ!莉羽の話を――」
「いいから。聞きたいんだよ」
莉羽の話をしてよ!そう言おうとすると言葉は遮られて僕の話が聞きたいなんて言うんだ。
こんなキモオタの僕の話を莉羽は聞きたい、そう言ったんだ。
「僕の話なんてつまらないよ」
「俺が聞きたいって言ってんだよ。お前のこともっと知りたい」
そういうこと言わないでよ。
また心臓がギュンってなって苦しくなるんだから。
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