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第27話
学校の屋上で推しの莉羽と二人きり。
この状況でさえ莉羽のファンにとっては羨ましいことなのに莉羽は僕の話をずっと聞いていた。
「僕の人生つまらないでしょ?でもそんな僕の人生に光を与えてくれたのは莉羽なんだ!アハハ……なんか恥ずかしい」
「つまらなくない。でもよかった」
「よかった……?なにが?」
「お前が俺を見つけてくれて」
ずるいよ……これ以上、僕をキモオタにさせないでよ……
わけわかんない。もうわけわかんない!!!
「莉羽は……なんで僕にこんなに優しいの?オタクだよ?僕オタクだよ?」
背中を向けていた莉羽がくるっとこちらを向いた。
「なんで?まだ劇場で踊ってた時、揺瀬が俺をキラキラした目でずっと見てたから」
なにそれ、なにそれ、なにそれ?
それだけの理由で莉羽は僕にこんな構ってくれるの?優しすぎるでしょ。
「はあ……お昼一緒に食べようね……」
「は?なんで溜息とかつくんだよ。ムカつく。キモオタの分際で。クソが」
「口悪いよ……」
そんなもの嬉しすぎて今すぐここから飛び降りたい気分なんだよ!
話を逸らさないと僕の心臓がうるさいんだよ!!
* * * * * *
『ここの問題わかる奴いるかー』
一生懸命、授業を受けている莉羽。
そんな姿でさえ美しい。目の保養だ。
莉羽の横顔があまりにも綺麗で頬杖をつきながら幸福感に浸っていた。
そしたらノートを見せてくる莉羽。
【見てくんな殺すぞ】
うう……本当酷いよ……莉羽……
プクッと頬を膨らましてみるけど「死ね」と目線で送られた気がした。
その目線も今日も尊いもんねーだ。
「おい、高月」
「は、はい?」
「お前ここの問題わかるか?」
「……わかりません!」
「真面目に授業を受けなさい」
隣に莉羽という存在がいるのに授業なんか真面目に受けれるわけないじゃないか!
先生はなにもわかってないんだ……!
隣をふと見ると莉羽が意地悪そうな顔して笑ってた。
「笑わないでよ!」とノートに書いて見せると、
「バーカ」と返ってきた。
その顔が可愛くて思わず目を逸らしてしまった。
ヤバい、ヤバい、ヤバい。まただ。
心臓がギュンってなってバクバクいってて本当に苦しい。
なに、なに、なに、一体なんなのこれは。
ほんの少しだけチラッと莉羽の顔を見ると頬杖をつきながら僕の方を見ていた。
目が合うとニコッと返してくる莉羽が……
「もうなんなのー!!!!!」
「高月うるさいぞ。夢でも見てたのか?」
「す、す、すみません……見てたのかもしれないです……」
莉羽が……なにが言いたい?僕。
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