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第36話

『だから俺は……お前が――』 『お前が……?』 『好き。めちゃくちゃ好きだ』 三年生もあと半分を切った。 そうしていると莉羽主演のBLドラマが放送された。 「男同士……ねえ……」 ふと、BLというものに興味を持った。 だから好奇心で見てみたんだけど凄くよかった。 そしてさーちゃんの言う通り莉羽は攻め役だった。 それに少し違和感を覚えたけど莉羽の演技は素晴らしくて感情移入してしまいそうなくらい吸い込まれた。 男同士で抱き合ったり、キスしたり。 別にこれになにも違和感なんて感じなかった。 寧ろ「羨ましい」なんて思った。 誰かをこんなに愛せるなんて素晴らしいじゃないか。 女も男も関係ない。誰かを「好きだ」そう思える感情は美しくて綺麗だ。 「美しい……綺麗……やっぱり莉羽にしか思えない」 莉羽と連絡を取らなくなって、その間もちろん新しい出会いもあった。 合コンというものにも付き合わされた。 それでも莉羽のように「美しい」「綺麗」だと夢中になれるほどの人間なんて現れなかった。 「好きってなんだろう」 僕は未だにその感情がわからなかった。 人を好きだと思う気持ちがどんなものなのか。 ただ1つ言えることはこの世のどこ探しても莉羽以上に夢中になれるものはないということだけ。 〜〜♩ そんな時、着信が入った。 スマホの画面には『さーちゃん』の文字。 『はいー!』 『ねえ見た?莉羽のドラマ見た?』 『見たよー。さーちゃんの言う通り攻めだったね』 『でしょ?そんな事よりすごくよかった……』 『それは僕も思った』 『なんか恋ってなんだろうって改めて思わされたよね』 ほんと僕も恋というものがなんなのかと今考えていたところだよ。 『恋って……なに?好きってなに?どんな感情なの?』 僕は知りたかった。恋というものを。好きだという気持ちを。 『んーその人の言葉で嬉しくなったり悲しくなったり心臓がギューって痛くなったりって感じじゃない?』 『推しに対する気持ちと何が違うの?』 『推しは推しじゃん。推しに恋人が出来たら全力で応援するし、推しがドラマ決まれば応援するし、推しのために応援できるのが私達の役目じゃない?』 莉羽に恋人が出来たら応援……? 絶対無理だと思った。応援なんかできるわけないと。 『僕は……ファン失格だ……』 『え?え?なになにどういうこと?』 質問するだけしといてさーちゃんの電話を切った。 莉羽のドラマが決まれば全力で応援するし、ソロデビューが決まったもんなら全力で応援する。 だけど、僕は……莉羽に恋人できたら応援なんて……絶対無理だ。

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