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第39話

『危ないので順番でお願いしまーす』 やっぱりLieNの人気は凄まじい。 みんなライブが始まる前から『かっこいい』なんて言ってるし。 まあわかるけどね?僕もオタクだしさ? 『待ってあの人、男でLieNファン?』 『やめろよ、気持ち悪い……けどイケメン』 こちらから言わせてもらえばそんなことを言ってしまうキミたちの方が気持ち悪……おっと危ない。 ファンならそういうことは慎め。 だから『アイドルオタクはクソだ』なんて言われるんだよ。 「はあ……気分悪い」 ライブが始まる前から落ち込んでしまったけど、せっかくここまで来たんだ。 今日はライブを楽しんで……そしてそして……莉羽に気持ちを伝えるんだー!!! ライブ会場のライトが消えた。 LieNのメンバーが出てくる合図だ。 〜〜♩ 『みんな〜!元気〜?LieNでーす!』 今日は一斉に出てくる日らしい。 そして久しぶりの莉羽が僕の前に…… 『一曲目は〝Sugar〟だよー!』 『きゃあああ!!!!LieN〜!!!』 〜〜♩ 踊っている姿、歌っている顔。 やっぱり莉羽は綺麗だ、美しい。 〜〜♩ ごめん、僕なんかが莉羽のこと好きになって。 けれどやっぱりアイドルしてる莉羽も好きだけど僕にしか見せないプライベートの顔の莉羽が見たい。 『!?』 莉羽と目が合った。絶対に僕を見た。 「なんでいるんだ?」と僕に訴えてる。 会いに来たんだよ、恋心だと気付いてしまったから伝えてきたんだよ。 今年最後のライブだからということもあり五曲も歌い続けてくれたLieN。 みんなヘトヘトになりながらもトークタイムへとうつった。 『いや〜今年最後ですね〜』 『本当だね。みんな来年も来てくれるかなー?』 『きゃあああああ!!!』 すごい歓声だ。僕も『うおおおおお!』と返したけれど。 『いや〜メンバーのみんなは今年はどんな年でしたか?』 『沢山のファンの人に支えてもらった年!』 奏斗がそう答える。 『僕は〜初めて演技の仕事もらえた!』 爽良が答える。そして、 『んー俺は最後の最後にこの景色見れて最高だった』 莉羽がそう言った。 まるで僕にそう伝えてくれているかのように莉羽は僕を見ながらそう言った。 最後の歌が終わる前に伝えなきゃと思った僕は持ってきていたノートに書き出した。 ラストの曲がもうすぐ終わりかけた時、 【話があるから聞いてほしい】と書いたノートを周りにバレないように莉羽に見せた。 莉羽はウインクで返してきた。 伝えるんだ、僕は。 ちゃんと莉羽に僕の気持ちを。伝えなきゃ。

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