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第41話

言ってしまった。言ってしまった。 莉羽の顔が見れない。莉羽は今どんな顔してる? 僕が好きだとか伝えてしまったせいで莉羽は困っているかもしれない。 「おせーよ、バーカ」 「え?」 莉羽は僕を抱きしめた。力強く。苦しくなるくらいに。 ……で?伝えた後はどうしたらいいの? 「待ちくたびれたわ」 「ごめん……というか気持ち悪くないの!?」 「は?なんで」 「だって僕……男だよ?しかもこんなキモオタに好きなんて言われちゃ困るでしょ?」 正直、逃げてしまおうかと思った。 今日のライブは来ずにこのまま僕が去ればいいそう思ってた。 でもやっぱり……アイドルとしての莉羽もアイドルじゃない莉羽も近くで見たい、そう思った。 「なんでそんなこと言うんだよ」 そんなことって……僕にとっちゃ重大だよ。 オタクの僕が莉羽のことを好きだとか言っちゃってるんだよ? 画面越しの尊い存在を『触れたい』と願ってしまっているんだ。 ファンの皆に申し訳ないよ。 「だって……」 「お前が好きなのはずっと前から知ってた。俺のことずっと見てたし。俺だってお前のことずっと見てたんだよ」 莉羽が……僕を見てた? そんなこと信じられない。 いつから?いつから莉羽は僕のことを…… 「い、いつから?」 「劇場でお前が俺のことをキラキラした目で見てた時から」 そんなのもう何年も前の話じゃないか。 けれど……僕もあの時から本当は…… 「それじゃ……僕達はりょ、両思い!?」 「きめえ言い方してんじゃねーよクソが」 アハ、アハハ。なんか安心した。 腰が抜けた。なんかもう死んでもいいや。 「で?まだ俺に言うことあるんじゃねえの?」 言うこと……?な、な、なんだ……? やばい、本当にわからない。 好きだと伝えたし、なにを言えば……? ドスッ 「痛い!」 「両思いってわかったらなんて言うんだよ!? お前そんなこともわからないでよく俺のオタクが務めれたな」 「す、す、すみません……!え、えっと……おこがましくて申し訳ないんですが、ぼ、ぼ、僕とお、お付き合いを、お、お願いします!」 …… …… 「いいよ」 「え!? え!? えー!? 本気で言ってる!?」 「はあ?当たり前だろ。両思いなんだから」 う、う、嘘だー!!!! り、り、莉羽が僕の恋人になっただと!? 夢か?夢なのか……?うん、これはきっと夢だ。 だ、だって莉羽が僕のことなんか…… 「……え?」 この時、莉羽の唇が僕の唇に触れた。 初めてのキスだった。甘くてとろけるようなキス。 ああ……神様、仏様、閻魔様。ごめんなさい。 莉羽のことが愛しくて愛しくて堪らないです。

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