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第43話

「で?なんでお前は家に来たわけ?」 「別にいいだろ!」 「学校でもお前といるのに休日までやめてくれね?」 「凛太郎のケチ!」 僕は凛太郎の家へと突撃しに来た。 だってしょうがないじゃないか。暇なんだもん。 「俺は惚気なんて聞いてやんねーからな」 「そんなものないよ!会えなくて寂しいのに!」 「そういうのを惚気つーの」 莉羽と付き合って凛太郎には速攻報告した。 驚くかな〜と期待していたのに凛太郎の反応は「あっそ、おめでと」と、冷たかった。 酷い奴だ。親友の報告を軽く流すなんて。 「で?愛しの莉羽くんとはどこまでしたわけ?」 「へ!? そんなのキスだけだよ……」 「はあ?可哀想な奴」 「可哀想とはなんだ!可哀想とは!」 まだ付き合って日が浅いのにガツガツいけるわけないじゃないか! まず僕みたいなのが莉羽に触れたら美しい莉羽が僕で汚れてしまうだろ!このくそ凛太郎! けれど……やっぱ付き合うってそういうことだよね?キスはしたけど(1回だけ)そ、その……せ、せ、セック……あー!!僕はなんちゅーことを!!!ごめん、ごめんなさい!死にます! 「まあ向こうかなり忙しそうだしそんな時間ねえか」 「そ、そ、そうだよ!莉羽は忙しんだ!僕と違って……」 「で?お前バイトどーなったの?」 ギ、ギクッ。 莉羽との時間をいっぱい取りたくて辞めたなんて口が裂けて―― 「辞めたんだな」 「……僕バイトなんてしてたっけ?」 「はあ……お前今からそんなんでどうすんだ?もうすぐ卒業だぞ?仕事はしなきゃなんねーだろ。そんな甘ったるい考えでどうする気だ?」 プンプン。うるさいなあ。わかってるよ! ほんと凛太郎のくせに!真面目なんだから! まあ確かに……『莉羽のため』とか会社側からしたら『知るか』案件だよね。 はあ……莉羽もアイドルとして頑張ってるのに僕は何をしているんだろう。 「もう!僕のバカ!」 「絵以外にしたいこと見つかったってやつは?どうなったんだ?」 「それはちゃんと考えてるよ。だけどさ、もし絵が売れるようになったらどうしようかなって……コンテストにも毎回出してるし」 「絵は副業でいいじゃん」 そんなこと……って、まあ確かにそれはあり。 莉羽が褒めてくれた絵を辞めることはしたくないし、絵が売れない間はどうせ働かないといけないんだし。 「凛太郎!お前はやっぱ天才だ!」 「は……?なんなんだよお前」 莉羽だってちゃんと頑張ってるんだし僕もそろそろ本当にちゃんとしなきゃね。 莉羽に見合う男にならなくちゃ。

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