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第44話

今日はいよいよ莉羽が帰ってくる日だ。 久しぶりに会えるってこともあって僕は家中ウロウロしていた。 ピンポーン 「き、き、来た……!」 ガチャッ 「よ、キモオタ」 「お、お、おかえり」 「おう、ただいま」 り、り、莉羽だー!莉羽が目の前に……! やっぱり眩しい!美しい!尊い! ソファーへと直行していく莉羽の後ろをトボトボとついて行く。 「は?なに?」 「いや、そ、その……なんとなく?」 「は?なんだそれ」 付き合うって何したらいいんだ……? わからない。全くわからない。 「ご飯は……食べた?」 「いや腹減った。揺瀬のご飯が食べたい」 「今すぐ作ります!」 「さんきゅー」 結局、莉羽の言われるがままご飯を作る。 はあ……僕はなんて意気地無しなんだ。 「あ、いちごミルクあるよ。飲む?」 「うん、飲む」 「冷蔵庫入ってるから」 「うん」 トントンッ 雑炊を作ってあげようと思ったけど、どうせろくなものを食べていないだろうしガッツリしたものにしよう。 ゆで卵を作って、玉ねぎをみじん切りにして…… 鶏肉を揚げてる間にタレを作って…… タルタルソースと甘酢ダレ、ほら完成!美味しそう! 「はいお待たせ」 「チキン南蛮……?」 「そう、チキン南蛮。最近ろくなもの食べてないでしょ?だからガッツリにしてみたんだけど」 「……美味そう。食べてい?」 「はい、どうぞ」 そうだ、僕達はこんな感じでいいではないか! 十分幸せじゃないか!莉羽が僕が作るご飯を食べてくれてる。素晴らしいことじゃないか! 「うまっ」 「ハハ、よかった」 「やっぱ揺瀬のご飯が1番美味い」 「僕も……莉羽と食べるご飯が1番好きだよ」 「あっそ……」 莉羽はわかりやすい、ものすごく。 照れてるくせに照れていないフリをする。 ……可愛くて仕方ない。 「莉羽」 「ん?」 「可愛い」 「は?急になに?」 急じゃない、ずっとそう思ってた。 莉羽は誰よりも美しくて綺麗だ。 他の誰もかなわない。本当に……綺麗。 「急じゃないよ。いつもそう思ってるから」 「……キモイ」 「ねえ僕みたいなキモオタでも莉羽に触っていい?」 「付き合ってんだし許可なんていらないだろ」 「……そう。そう、だよね」 立ち上がって莉羽の方へと近付いた。 一歩、また一歩。莉羽の頬に触れた。 僕が莉羽の頬に触れると手を重ねる。 「お前はキモオタだけどキモオタじゃない……俺にだけ……そ、その……キモオタでいてくれたら……いいから」 あーダメだ。可愛すぎて理性が吹っ飛びそうだ。 「ごめん」 二回目のキス。僕からしたキスだった。

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