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第45話

もう理性が吹っ飛びそうな僕は触れるくらいのキスから掻き乱すほどのキスへと変えた。 莉羽の吐息が僕をさらに興奮させていく。 「お前……猿かよ」 「……ごめん。けどもう我慢できない」 「揺瀬なら……いいよ」 こんな可愛いことを言われたらこれ以上なにを我慢しろと? 莉羽は僕にとって神様や仏様よりも尊い存在だから触れちゃいけないと思っていた。 それなのに莉羽は僕ならいいと言ってくれた。 「……失礼します」 それでも僕の不安は消えなかった。 だって元々は手が届かない存在だと思っていたのだから。 莉羽の唇を奪ってしまったことでさえ僕はクソだと思っているのだから。 それなのに触れたくて……仕方がない。 「……んんっ、ゆ、せ、んぁっ、」 本来なら指なんて入れてはいけないところだし辛くて苦しいだろう。 でも……止めれない。止まってくれないのだ。 「ご、ごめん……ほんと……ごめん」 謝ることしか出来なくて、莉羽を汚してしまうんじゃないかという恐怖心が僕を襲った。 「……んっ、なんで謝るんだよ」 汚したくないからだよ。 美しい莉羽を、綺麗な莉羽を僕なんかで汚したくない。 「汚したくないのに……止めれない。ごめん」 汚したくないのに莉羽は僕の腕を掴んで手の甲に優しくキスを落とした。 「莉羽……?」 「なんでお前はいつもいつもそんな事ばかり言うんだよ。俺が好きになった相手なんだよ。侮辱するなよ……」 莉羽は優しい。いつも優しんだ。 自分に自信が無いわけじゃない。 そうじゃなくて……初めて美しいと感じた相手を汚したくない、ほんとそれだけ。それだけなんだよ。 「ごめん、なさい。その美しい体に……ぼ、僕を覚えさせても、よ、よろしいでしょうか?」 「なんだよそのセリフ。いちいち許可いらねえってば。早く覚えさせろよキモオタ」 こうして莉羽の美しい体と僕の体を重ねてしまった。 …… 「ぎゃあああああ!!」 「は? な、なに」 「ごめんなさいごめんなさい本当にごめんなさい」 興奮が収まった瞬間、僕は自分を殺したくなった。 莉羽に土下座をしてみるもなんか……もう僕自身、僕のことを許せない。 「だから謝るなって」 「いや……もう僕はクズだ!クズだ!莉羽様になんてことおおおおお!!!本当に申し訳ございませんでしたああ……!!」 ああ、死にたい。本当に死にたい。 「……お前ほんとうざい」 「え?え?ご、ごめん」 「そうじゃなくて……俺のこと特別だと思いすぎだよ。同じ人間だろ。しょうもない」 ううう……そんなこと言われてもさ?莉羽が僕の恋人になってくれてもさ?やっぱ莉羽は僕にとってどんな存在よりも尊いよ。

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