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第48話
「んふ、んふふふふ」
「お前ほんと気持ち悪いぞ」
莉羽と付き合って1ヶ月が過ぎようとしていた。
そしてあと二週間もすれば三年生も終わる。
莉羽は忙しのあまり結局、学校を辞めてしまっていたらしい。
莉羽と高校の思い出を作りたかったなあなんて思ってしまった僕をおこがましいと誰か殴って下さい。
「俺達、大人の仲間入りだな」
「いや〜このまま時止まってくれないかな?」
「無理だな」
「大人になりたくない……」
「またそんなこと言って。それは無理無理」
今はまだ学生の立場だから自由がきく。
だけど大人になれば社会人。もちろん自由なんてものはきくわけもなく今みたいな生活はきっと出来ないだろう。
ということは……?だ!今以上に莉羽に会えなくなってしまうということだ……!
それは阻止せねば……と言いたいところだけど無理。普通に考えて無理だ。
「莉羽は僕と会えなくて寂しくないのかなあ」
「……きっしょ」
「親友が真面目に悩んでるんだよ?」
「大人になるってことはそういうことだよ」
「どういうことだよ」
凛太郎とも会える時間が減ってしまうかもしれない。
ほんと……なんで大人になるんだろう。
結局、絵だって一次が通るだけでそれ以上はいかないし。
「ところでやりたいって言ってた仕事ってなんだよ」
「それは叶ってからのお楽しみ。けど……莉羽には言ったら殺されるかも……」
「は?お前まさか体売る気じゃ……――」
「それはない!絶対にない!」
「……」
「そんな目で見るな!ほんとそんなんじゃないから!!」
この仕事が叶ったら莉羽と一緒にいれる時間が増える。
恋人としてもファンとしても莉羽を1番近くで拝めれる……は、ず?
僕だって本当はこんなわがまま言うべきじゃないのはわかってはいる。
だけど恋人になってしまった以上、気持ちに気付いてしまった以上、莉羽のことをもっともっと好きになってしまって尊くなってしまってわがままになっていく。
正直なところ中々会えないことが不満じゃないかと言われたらそうじゃない。
莉羽の前では「アイドルだし仕方ない」そうは言っても心の奥底では会いたいと思ってしまっている。
「恋ってなんでこんな難しいの……」
「お前いっつも急だな」
「だって難しすぎない?お互い好きで付き合ってるのに結局住む世界が違ったら辛くなっちゃうじゃん。『あ、僕とは違う世界の人なんだ』って急に気付かされるし」
「わかってて付き合ったのはお前だろ」
いや、そうなんだけどさ。
どんどんわがままになっていく自分に嫌気がさすんだってば。
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