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第51話

莉羽の背中を追いかけることもできないまま、また僕は…… スマホを開いて莉羽に電話をかけてみるも莉羽が出ることはなかった。 というか着信拒否をされている気がする。 ああ……完全に終わった。 せっかく恋人になれたというのに僕の初恋は1ヶ月という短さで終わってしまった。 プルルル 一人でいたくなかった僕はとりあえず凛太郎に電話をかけた。 『なに』 『グスッ。り、り、凛太郎〜!』 『はあ?推しくんと何かあったんだな。とりあえず行ってやるから位置情報送ってこい』 『うん』 どうせ僕は誰かに頼らないと生きていけないようなクソガキだもーんだ、なんてことを心の中で思いながら莉羽と別れたコンビニで凛太郎が来るのを待った。 「おいおい、振られたのか?」 凛太郎は10分もしないうちに来てくれた。 息を切らしながら。僕なんかのために。 「……なんでわかったの」 「さすがにそんなに泣かれてたら喧嘩か振られたかだろ」 「喧嘩かもしれないじゃないか!」 「喧嘩ごときでそんな目腫らすほど泣かねえだろ」 まあ確かに僕が逆の立場でも気付くと思う。 もう何年も一緒にいるし。 「僕の初恋は短かったよ……」 「で?別れた原因は?」 凛太郎に全て話すとはあと大きなため息をつく。 ため息つきたいのは僕だっての!! 「まあお前が悪い」 「ええ……ぼ、僕なの?」 「ああ、お前だな」 いや確かにそうなんだけど僕にも不満ってものがあってだな…… なんて話をしても凛太郎はきっと「お前が芸能人選んだんだ」なんて返してくるのはわかっているから言うのをやめた。 「多分もう会ってくれないかも」 「お互いまた1からやり直すのもいんじゃね?お前だって社会人なるんだし」 「二度と戻れなかったらどうするの!」 「それも運命だろ。仕方ない」 「……僕は莉羽じゃないと無理だよ」 莉羽と恋人になって僕の知らない感情がいっぱい邪魔をする。 僕だけの莉羽でいてほしくて、もっともっと愛されたいと願ってしまうせいで僕のわがままな感情が、僕の勝手な言葉が莉羽を傷付けてしまった。 本当はそんなことわかっているのに莉羽を前にするとどうしても心のコントロールが上手くいかない。 「次があるって」 「次なんてない!莉羽以外興味ないもん」 「って言ってもなあ。向こうがオタクに戻れって言うなら仕方ないだろ。お前がもっと大人になって迎えに行ってやれよ。まあまた振られるかもだけどな?わっはは」 本当なにが面白いんだか。 僕がもっと大人になれ……か。 僕がもっと大人になったら莉羽はまた僕を〝好きな人〟として見てくれるだろうか。

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