『日生くんいいよー。もっと笑顔ちょうだい！』 日生の撮影が始まった。 さすが人気俳優。かなりイケてる。 「よし！OK！今日もかっこよかったよ〜」 「当たり前でしょ？俺なんだから」 「アハハ〜 そうだね」 人見知りのない性格の日生は口も上手く皆からも可愛がられるタイプ。 裏表もなくてどっかの誰かさんとは大違い。 「マネージャー！今日の俺どうだった？」 「うん、よかったよ」 「どんな風に？」 「どんな風って……とりあえずかっこよかったよ」 「とりあえずって……酷いなあ」 「アハハ、ごめんごめん」 プクッと頬を膨らましながら不貞腐れる日生は可愛い。 僕が日生のマネージャーをするって決まった時もこの愛嬌で惚れかけた記憶が…… 「次はインタビュー受けなきゃだっけ？」 「しんどかったら断るよ？」 「いやいいよ。マネージャーの為に頑張るよ」 はあ……なんていい子なんだ。 もっと早くに出会っていれば僕は日生のファンになっていたかもしれないと思わされるほど俳優としても人間としても完璧。 「てかさマネージャーはなんでマネージャーになろうと思ったの？」 「急だね」 「いや〜なんか気になっちゃって。で、なんで？」 本当のことを言うと莉羽のマネージャーになりたかったっていうのが本音。 だってずっと一緒にいれたかもしれないし。 だけど今はもう叶わない願いだとわかっているしマネージャーとしてどこかで莉羽とまた会えるかもしれないと期待しているのかもしれない。 だから結局……諦めれずにここにいるんだろうし。 「んー芸能人に会ってみたかったからかなあ」 「えーなにそれ？変な理由だね」 「そう？割と多いんじゃない？」 「いやもっとみんな夢持ってるでしょ」 「確かに言われたらそうかもね」 結局、僕はあの時から何一つ夢を叶えれない。 絵だって落ちてばかりだし、マネージャーだって莉羽に会いたいがためになりたいなんて夢を追いかけて本当……バカみたいだ。 結局、莉羽に振られて終わってるし。 「マネージャー」 「ん？」 「俺さLieNと仕事してみたい」 「え、なんで？」 「LieNってより莉羽って子と。だってアイドルもしててあの子演技も出来ちゃうんだよ？もう才能だよね。嫉妬しちゃう。だから莉羽って子と一緒に働かせてよ。ね？」 日生はいい子だ。いい子なんだけど…… ものすごく負けず嫌いだということを忘れていた。 「え、あ、うーんー。まあ……わかった」 僕の都合で勝手に断っていたけど日生本人に言われたら断れないじゃないかあああ……！