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第59話

「アハハ……僕、莉羽さんのファンなので〜 アハハ〜……」 こう言うしかなかった。 莉羽の顔をチラッと見てみるとまた僕を鋭い目線で…… 「なーんだ!マネージャー言ってよ!」 「ああ……ご、ごめん」 「けど俺ショックだなー。自分のマネージャーが俺より莉羽くん推しだなんて」 「アハハ……」 ごめん、日生ほんとごめん……! 推し以前に僕は莉羽を愛してしまっていたんだよ……!ご、ごめん……!と心の中で叫んでいると監督が入ってきた。 「やあやあ!君達元気?」 「あ、お世話になっております。今回はよろしくお願い致します」 「うんうんよろしくねー。さっそくだけど話進めちゃっていい?」 「よろしくお願いします」 今回のドラマは推しの気持ちから恋心に変わるという話らしい。 ん……?これは……まるで僕のことじゃないか! 「オタク役が日生くんでオタクに恋心を抱かれるのは莉羽くん!どう?イメージ通りじゃない?」 つまり……受けが日生で攻めが莉羽ね。 まあ確かに見た目通りだけど……莉羽は受け側なんだっての!! そんな事は口が裂けても言えるはずがないから心の中で密かに思っていることにしよう、うんうん。 「素敵ですね〜、アハハ……」 はあ……絶対見よ。ファンやめたって言うのをもうやめた。ずっとファンでいいや。 「監督。お言葉ですが莉羽を受け役にするのは無理なのでしょうか?」 え……?葛西さんなにを言っちゃってるの……? 「んー?莉羽くんは攻め役の方がハマり役でしょ」 「いやだからこそ受け役がいいと思うんです。伸びますよ。僕的にも莉羽をもっと売れさせたいので」 こ、この人すごい……! マネージャーとして完璧じゃないか! 「まあそれは本人達の意思も大事だしねえ。莉羽くんと日生くんどう?」 二人は顔を見合わせて同時に『今のままでいい』と言った。 その返事に葛西さんはショックがっていたけど僕的にも受けの莉羽を僕以外に見られてしまうのはいい気分ではないから少し安心した。 まあ僕がそんなこと思うような権利もないけど。 「ということで今のままで進めちゃうね〜。二人とも人気アイドルと俳優だから時間合わないよね?どうする?こっちはいつでもいいけど」 「あ、日生の方は夜からなら撮影可能ですが……」 「莉羽の方も夜なら何とか時間が取れます」 「それじゃ再来週辺りから始めちゃうねー!また連絡しますわ〜。ほんじゃ解散!」 いよいよ再来週から撮影が始まる。 二人の作品……今から楽しみすぎて顔が緩んでしまう。 腐男子万歳!

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