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第61話

日生を送ったのはいいものの…… 中々メッセージを送れないでいた。 なんてメッセージすればいい?『送りました』とか……? ああ!!!わかんない!!わかんなーい!! ピコン 僕の心を読んでくれたのか莉羽からのメッセージがちょうどいいタイミングできた。 〈なにしてんの?早く迎えに来い〉 相変わらず口が悪いなあ〜なんて思いながらも僕の頬は緩んでいる。 〈はい、今すぐ行きます〉 こんな僕の姿、日生が見たらなんて言うだろう。 莉羽の言うことならホイホイ聞いちゃう僕ってほんと……気持ち悪すぎない? 莉羽の家まで迎えに行くともう既に正面玄関の前で待っている莉羽の姿があった。 助手席の窓をウイーンと開けて、 「いつから待ってたの」 「今」 「そっか。乗ってくださいませ」 「……ども」 うう……!気まずいぞ……! 気まずいけど……こんな夜でも綺麗だってわかっちゃうのはなに?眩しすぎるんだけど。 「あ、あの……」 「なに」 「僕になんのお話があって……そ、その、よ、呼んだのでしょ、うか……?」 「理由はない」と返ってくるのはわかっているけどなんなとく聞いてみたかった。 気まずい空気に耐えれないしね? 「お前……なんでマネージャーしてんの」 「え……?」 全然、想像していたものと違いすぎて言葉が詰まってしまう。 『莉羽のためだよ』なんて言っちゃっていいのか?いや……迷惑だよ、ね。 「だからなんでマネージャーなんてしてんの」 「そ、それは……なん、となく……?」 「へえ。お前のことだから俺に会いたいとかでマネージャーになったのかと思ったけど違うんだな」 いやほぼ合ってる。ほぼ正解です。 「アハハ……?ハハハ……」 「相変わらずキモイわお前」 ああ……!もうその言葉を聞けただけで安心しちゃう。 なんて幸せなんだ……僕ちん。 「莉羽は……そ、その元気だった?」 「は?なんだよその質問」 「いや……僕はつまらなかったなあって」 「は……?」 やばい、つい流れにのって言ってしまった。 引かれたらどうしよう……せっかく連絡先もらえたのに。 「あ、そ、その!今のは違くて……え、ええと……――」 「……なにが違うんだよ。お前はまたそうやって俺に嘘をつくのか?」 「え……?う、嘘……?嘘って?」 僕の言葉に「わかんないならいい」と言いながら窓の景色に目を向ける莉羽に「ごめん……」としか言えなかった僕。 やっぱり莉羽が絡むと自分がどんどん嫌いになっちゃうなあと改めて思った。 「……お前はずるいよな」 その言葉に『莉羽もだよ』と返せずにまた「ごめん」と返した。

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