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第65話

「今日はここまでにしよう。みんなお疲れ〜」 「「「お疲れ様でーす」」」 今日の撮影はどうやらここまでらしい。 ドラマが始まるまで楽しみにしているつもりだったのに始まる前に全て内容を知ってしまうこのネタバレ感……少し悲しい。 だけどイケメン二人のイチャイチャを生で見れるのはレアかもしれない。 「高月さん終始ニヤケてましたね」 「はっ……!! す、すみません!」 「いえいえ。とりあえず今日はお疲れ様です。3話からまたよろしくお願い致します」 「は、はい!こちらこそ!」 危ない、危ない。つい腐男子魂が漏れまくるところだった。 莉羽にも挨拶しようと思ったけど、どうやらまだ仕事があるらしくそそくさと出て行ってしまった。 「マネージャー!おつかれー!」 「日生がね。凄くよかったよ。次も頑張ろうね」 「腐男子のマネージャーには刺激強すぎるんじゃない?」 「ああ、うん……正直、鼻血出そうだった」 「出したら面白いのにー」 初めは楽さで日生のマネージャーを決めたのに今となっちゃこの笑顔に救われている。 そして『僕がこの子を有名にしなきゃ!誰よりも』なんて思ってしまっている。 莉羽のことは好きだし今でもずっとオタクでいるけれど仕事となったら話は別だ。 莉羽よりも日生を人気者にする。この夢と、 ネットの時代だからこそ絵の魅力を伝えること。 この目標をかなえるために頑張ろうと二人の演技を見て思わされた。 この二人にはそれほど人を動かせる何かがあるとわかった瞬間、このままじゃダメだと。 「日生」 「んー?」 「莉羽より人気にさせるから任せてよ」 「えー?急にどうしたのー?まあ……期待してる。これからも共に頑張ろうね」 ――莉羽の背中を追いかけなきゃ。 「マネージャー?俺帰りたいんだけど」 「あっ……!ご、ごめん。だけどその前に………日生!インスト解禁を許可する!」 「ええ!? 今まで散々止めてたくせに?」 「まあスキャンダルとか怖いじゃん?だけど……莉羽を超えるためにはインスト開設してもっと知名度をあげる!管理は僕がしてあげるから。ほら!今すぐインスト入れて!」 「急すぎるって……もうわかったよ……」 日生はいい子だけどイエスマンな所があるからという理由でインスト開設は禁止していた。 だけど……日生の知名度をもっとあげてこんな僕でも仕事ができるところを莉羽に見せなきゃ。 そして昔とは変わった僕でもう一度、莉羽を僕のものにしようと今決めた。 キモオタがおこがましいのはわかってはいるけれど、僕はやっぱり莉羽が――好きだ。

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