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第66話

〜〜♩ 〜〜♩ 「あーもう!!うるさーーーーい!!!」 朝からしつこい電話のせいで目が覚めた。 スマホの画面を見ると知らない番号。 「詐欺かなんかだよねー、はいおやすみ」 今日はわりとゆっくりめに家を出れるためもう一眠りしようと布団を被った瞬間、 〜〜♩ また同じ番号からの電話。 鳴り止まない電話に溜息をつきながらも応答ボタンを押す。 「……はい?どちら様でしょうか?何回も何回も。お名前とご用件を伺っても?」 詐欺だろなんて思いながら用件まで聞いてしまう僕は本当にアホだと思う。 「ああ、キミさ高月揺瀬くん?」 「そうですが?どちら様でしょうか?」 声的には40代前半くらいだと思われる男の声。 「……諏訪すわ一成だけど」 「す、す、す、諏訪さん!? な、なんで!?」 諏訪一成。絵の世界の頂点に立つお方。 僕が出したコンテストの審査員でもあるお方だ。 そんなお方がなぜ僕に……!? 「なんでってキミが出した絵が選ばれたからだよ」 「……は?な、な、なんて?」 「だからキミが描いた絵が優勝した。それで今後の話について――」 「ち、ち、ちょっと待って!待ってください!冗談……で、ですよね?ぼ、僕の絵が……え、選ばれた?え、え、えー!?」 う、嘘だ…… そんな話、絶対信じない!詐欺だ!詐欺だー! 「冗談で言うわけないだろ。とりあえず僕の家に来てよ。今後の活動について話し合おう」 「ええ……わ、わかりました……」 「日程はまた連絡させてもらうよ。じゃあね」 な、な、なんで?僕の絵が……優勝? と、と、とりあえず凛太郎に電話だー!!! プルルルル…… 『……んん。うっせえなあ。朝からなんの騒ぎだよ』 『り!り!凛太郎!大変だー!!』 『さっさと用件言えよ』 『ぼ、ぼ、僕の絵が優勝、優勝、優勝したんだー!!!大変だ!!!』 『はあ……!?ま、ま、まじか!?』 凛太郎がこんなに驚くなんて珍しい。 きっと明日、いや今日……台風がくるぞ……! 『なんで凛太郎までそんな驚くんだよ』 『驚くに決まってるだろ。お前のようなバカにそんな才能があるなんて』 そっちかーい!優勝したことに喜んでくれているのかと思った僕がバカだった……! 『……優勝したこと褒めてよ!』 『あ、おう。おめでとう。まあ頑張れよ』 なんて冷たい奴なんだ……! せっかく優勝したというのに……! まあまだ実感なさすぎてこれが夢なのか現実なのかすら分かっていないけれど。 『これは現実だよ、ね、……?』 『ああ、安心しろ。現実だよ。まあ俺は寝るからまた進展でもあったら連絡よろしくー』 ああ……現実なのか。

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