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第67話

「お、おはようございます……」 「お?マネージャーおはよー。元気なくない?なんかあったの?」 いや寧ろ喜ばしいことがあった。 あったんだけど……人間というものは驚きすぎるとその気持ちとは反対の感情が顔に出てしまうらしい。 「いや……寧ろ喜ばしいことだったんだよ」 「えーじゃあなんでそんな落ち込んでるの?」 「驚きすぎて落ち込んでる」 「えー?なにそれ。理解不能」 僕だって理解不能だよ! まさか優勝するなんて思わないじゃないか! しかも……諏訪一成先生に会えるなんて……事故でもおこるんじゃないだろうかと不安になるよ! 「なにがあったか俺に話してみ?」 「いや別に大したことないから」 「……もう今日は帰ろうかなあ」 「わかった!言うから!」 仕事をすっぽかされては僕が困る! だから仕方なく話すことにした。 けれど凛太郎とは違って日生は、 「ええ!? 凄いじゃん!!おめでとう!!」 すごく喜んでくれた。 これだから日生のマネージャーは辞められないんだ! 「日生……キミはなんていい子なんだ……」 「だって凄いじゃん!優勝でしょ?しかも諏訪一成先生なんて絵に興味ない俺でもわかるよ!やっぱ俺のマネージャーは天才だなあ」 「日生……抱きしめさせてくれない?」 「ええー?いいよー」 あれだ。日生はマスコットキャラクターだ。 そんな可愛さがある。 ――コンコンッ 絶対、日生をもっと有名にするぞ! 「あの……お取り込み中すみません」 「!? か、か、か、葛西さんっ!?」 日生を抱きしめていたタイミングでなぜか葛西さんが今、僕達の前にいる。 「え、ええと……こ、これは違いますからね!? そ、それでなんでここに……?」 「別に僕は偏見ないですので大丈夫です。あ、それでなんですが……ドラマの撮影なんですが今日急遽入ったらしく……連絡しても返事がなかったので来ちゃいました」 「いやなにか誤解を……っていうか今日ですか?日生の方が今日はスケジュールがいっぱいなんですが……」 葛西さんはなにか誤解をしている。 決してそんなんじゃないのに…… 「いいよ。俺、今日撮影するよ」 「で、でも……無理したら倒れるよ」 「いいから。ね?その代わり明日オフにしてくれない?どうせ雑誌のインタビューでしょ?断ってよ。ね?マネージャー?」 「日生が言うなら……」 ということは……今日も莉羽に会えるってこと!? し、し、幸せだ…… 「無理言ってしまって申し訳ないです。それでは19時からよろしくお願い致します」 「はい!よろしくお願い致します!」 うう……今は絵なんかより莉羽に会えることの方が嬉しいなんて……!

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