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第68話

「今日は呼んじゃってごめんねー?それじゃさっそくだけど撮影始めるよー」 り、り、莉羽だあ……! 芸能人だからオーラがあるのか、それとも……僕が莉羽を好きだから輝いて見えるのか…… 今日も莉羽は美しい!尊い!尊いぞ……! 「撮影開始まで3――」 今日は3話のシーン。 一目惚れからの霞(莉羽)から祐希(日生)に近付いていくシーン。 うう……少し嫉妬しちゃう。 僕なんかが嫉妬してしまってごめんなさい! 『祐希くん俺を推しとして見るんじゃなくて好きな人として見てくれない?』 ――ああ、綺麗だ。本当に莉羽は……美しくて僕の大切な人。 「はーい!カット!今日も二人ともすごく良かったよー」 3話のシーンのドラマ撮影も無事終了した。 今日も見事な演技でしたこと。 今日こそは莉羽に挨拶をしようと急いで莉羽の元へと早足で駆けた。 「り、り、莉羽さん……!」 「ん」 「あ、あ、あの!お疲れ様です!それだけです!」 僕は一体何をしてるんだーーーー!! まるでただの変人じゃないか! 「あ、うん。お疲れ様です」 絶対引いてるじゃん……僕はなんでこんなにアホなんだろうか。 こんなアホな脳をつけた神を恨みたい。 「そ、そ、それじゃ、し、し、失礼します!」 早くこの場から立ち去ろうと思ったのに、 「ちょっと待って」 莉羽はこういう時に限って僕をいつも止める。 「は、はい……?」 「少しお話があるのでこの後、空いてませんか?」 なんの話だろう……ま、まさか僕の好きが前面に出すぎているから的な……? 「日生を送った後なら……」 「あとで連絡します」 「は、はい……」 まあ話はなんであれ莉羽に会えるぞ……! こうして僕は日生を送り届け莉羽の連絡を待った。 ピコンッ 〈家まで今すぐ迎えに来い。今すぐだ!〉 いつもの莉羽だー! 〈超特急で行かせてもらいます!〉 メッセージを送ってすぐさま家を出た。 莉羽を迎えに行くまでの間、会えることが嬉しすぎて鼻歌なんか歌っちゃって。 そして莉羽は今日も僕が着く前から正面玄関の前で待っていた。 「お疲れ様、莉羽」 「ああ、お前も」 このよく分からない関係に名前をつけるならどんな名前が合うだろうか。 もしこれが〝都合のいい関係〟だとしても今はそれでいい。 莉羽に会えるなら何だって。 「ところで話ってなに?」 「とりあえず海が見える場所まで連れてってくれ」 「う、海……?こんな時間に?」 パシッ 「文句あるのか?さっさと出せ」 「は、はい!今すぐに!」 今日も莉羽に殴られて満足する僕に「ニヤニヤしてんじゃねえよ。気持ちわりいな」と返す莉羽が今日も尊いです……!

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