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第69話

海だー!しかも……莉羽と二人きりだー! ここの海はカップル達の穴場スポットだとかなんとか…… 砂浜が真っ白で海もほぼ透明。神秘的だ……! 二人で海に続く階段に座って少し景色を楽しんだところで莉羽が口を開いた。 「あーあのさ、えーとその……」 「ん?」 「お前なんで絵のこと言わなかったんだよ」 「え……?」 なんで莉羽がそのこと知ってるんだ……? 「俺には言わずに日生さんには言ってんだな」 ああ、日生から聞いたのか。 あの野郎……!僕の口から言うと思っていたのに……! 「ご、ごめん……日生から聞いたの?」 「日生さんも言ってたけど諏訪先生からも聞いた」 諏訪一成先生ってアイドルと仲良いの!? 「え、ええと……諏訪一成先生と仲良いの?」 「あ?うーんーまあ〝深い仲〟かもな」 は……?深い仲ってなに? 僕を嫉妬させるためにわざと言ってる? いやだとしたら何のために……? 「あ、へえ……なんで僕にわざわざそんなこと言ってくるの?」 「お前が聞いてきたんだろ」 いや聞いたけど深い仲とかいちいち言う必要ある? 僕がまだ好きだって知ってるんじゃないの? すごい……ムカつく。 「だとしてもいちいち〝深い仲〟とか言う必要あるの?それを聞いた僕はなんて答えればいいわけ?」 ほら、またコントロールが出来なくなる。 「……は?そもそもお前が俺に1番に言ってくれないのが悪いんだろ?なんで俺を責めるんだよ。お前は本当何も変わらないんだな」 え、僕が莉羽より日生に話したことが気に入らないってこと? いやだからなんで?その理由は?もう意味がわからない。 「だって……今の莉羽には関係ないでしょ。昔みたいに付き合ってたら僕だって莉羽に1番に話してたよ」 「今だって話せよ。俺に1番に。キモオタなら尚更だろ。なんで俺じゃなくていつもお前は――やっぱいい。喧嘩したくて呼んだんじゃない」 なんか莉羽が僕に呆れてしまった理由が今ならなんとなくわかる気がする。 結局、莉羽が言いたいのは僕が莉羽を『尊い』とか『好きだ』とかそんなこと言ってる割には莉羽より周りを選んでしまっていることが莉羽にとっての不満だったのかもしれない。 「り、莉羽……」 「なに」 「僕は……!莉羽のことしか見てない。ずっと昔から今だってそうだよ。ずっとずっと――」 「お前が俺を愛おしそうに見つめてるのは昔から知ってる。けど、それが俺が求めているものと違ったら意味ないんだよ」 莉羽が求めているもの……? 莉羽は僕になにを求めてるの……? 僕は莉羽になにをあげたらまた僕の元に戻ってきてくれるの……? 彼女だっているくせに。

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