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第70話
莉羽が僕に求めているもの……
考えても考えても全くわからない。
「莉羽は……僕に何を求めてるの……」
「わからないならまだまだだな」
そう言いながら僕の頭を優しく触れる。
ズルい。ズルすぎる……!
「でも莉羽には……彼女がいるでしょ」
「いねえよ」
「え?だって熱愛報道出てたし相手の女の人にも『報道通りだから』とか言われたんだよ?」
「あいつが勝手に言ってるだけだよ。だって俺、あの女に興味無いし」
ええ……彼女がいると思ってたから割と遠慮してたんだよ?色々と。
僕から誘いたくても我慢したし……
「はあ……なにそれ。我慢する必要なかったじゃん」
「我慢って?」
「いや何もないけど……じゃあ莉羽は今フリーってこと?」
「まあ恋人はいない。けど俺の性欲満たしてくれる奴は何人もいるかもな?」
ほら、またそういうことを言う。
僕を煽ってるんだよね、そうだよね。
それじゃ……僕もそれなりに煽らしてもらおうじゃないか……!
「へ、へえ……?ぼ、僕だってモテるようになったもんねーだ!ふん!」
「どうでもいい」って返してくるんでしょ?
「……じゃ俺いなくても生きていけるな」
え!? え!? 違う違う!生きていけないってば……!
「はい?そんなわけないでしょ。僕にとって莉羽が生き甲斐だよ。莉羽がいなきゃ僕なんて何も出来ない。けど最近は莉羽の背中追いかけるために頑張ってるんだから!日生を莉羽より有名にさせて僕でもちゃんと出来るんだぞってところを莉羽に見せるために……そ、それで……あ、そ、その……」
僕はまた余計なことを……!
莉羽はいつも僕から言わなくてもいいことまで引き出そうとしてくる。
ほんと……ズルい人だ。ズルい!ズルい!
なのに、
「……やっぱお前ってキモオタだな」と僕の大好きなクシャッとした笑顔でそう言ってくる。
だからやっぱり何度でも好きだと再確認させられて、それなのに僕の手元には戻ってきてくれなくて……苦しい、ほんとに苦しい。
「僕なんかが好きになってごめん……けど諦められない。やっぱり好きだって莉羽を見る度に思っちゃうから……ご、ごめん……」
寧ろ自分のものじゃないと思えば思うほど余計に好きな気持ちが大きくなる気がする。
「だから俺はお前のそうやってすぐ謝るところも嫌いなんだよ。なんで謝るんだ?お前がそうやって謝ってくる度にお前のこと好きになった俺まで否定されてる気分になるんだよ」
だって初めて僕が最後まで絵を描き終えたのも莉羽が踊っている姿で、初めて夢中になれたのも莉羽だったんだ。
そう簡単に莉羽を汚してしまうのは僕自身が許せないんだよ。
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