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第71話
「それは莉羽が何もかも初めてだから……」
「だから何だよ。俺が求めているのはお前からの特別と同じ気持ち。それだけだよ」
特別と同じ気持ち……
「特別なのに同じ気持ちなの?」
「はあ……なんでわかんないんだよ。やっぱお前イライラするわ。もう帰るぞ」
「ちょ、ちょっと待ってよ!ま、また……会ってくれる……?」
「うん、後……お前が俺の言ってる意味にちゃんと気付いたら彼氏になってやってもいいよ」
「え……?」と呟いた僕の言葉も聞かずに車に乗り込んでしまった。
だけど……莉羽のさっきの言葉って期待……してもいいってことだよね……?
特別と同じ気持ち……これが莉羽が求めているもの。
「あ、今日はありがとね。また……連絡してもいい?」
「うん、家着いたら連絡して」
「は、はい……!」
莉羽に早くメッセージを送りたいがために急いで車を家まで走らせた。
家へと着いた瞬間、莉羽に速攻メッセージを送る。
〈今日はありがとう。風邪引かないでね〉
すぐさま既読になるLIME。
僕の連絡を待ってた……?いやいやそんなわけが……けれど嬉しい。これだけでも嬉しいのに、
〈こちらこそ。揺瀬もな。おやすみ〉
莉羽は僕に〝特別〟と〝同じ気持ち〟を求めていて、僕は上手くそれに応えれなくて。
その意味すらも理解ができない。
「僕って……ほんとダメだ」
自分の不甲斐なさにイライラして、僕みたいな人間が莉羽みたいな人間を好きになってしまうことさえ申し訳ないというのに莉羽の求めているものにさえ応えれないなんてほんとクソ人間だ。
「特別と同じ気持ち……スマホで検索?いや調べてもわかるわけないか……」
スマホで調べるために打ち込んではみるけれど検索したところで出てくるわけないし途中まで打ち込んでいた文章を消した。
打ち込んでは消しての繰り返し。
「凛太郎に相談……?いやそれも結局、一緒じゃないか!」
凛太郎に相談しようとも思ったけれどそれもまた莉羽にとっては不満のひとつ。
「ほんと恋って難しすぎるって……」
莉羽が求めている答えに近付くまでもう少し時間がかかりそうだ。
けれど……僕が『日生を莉羽より有名にさせる』と話した時、少し嬉しそうな顔をしていた気がする。
だから……多分だけど少しは成長した僕を認めてくれたような気がして嬉しかったというか……なんというか。
「……ごめん。莉羽。莉羽を見たら僕のアソコがうるさくて……莉羽の顔で僕は今日ヌクことにするよ」
スマホで莉羽の画像を検索して推し兼好きな人を汚してしまう罪悪感があるけれど……
どうか僕の日課がバレませんように。
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